『点と線』 松本清張
毎年この時期になると発表される 新潮文庫の100冊 。毎年少しずつ変わるリストを見るたびに、夏だなぁって思うんです。角川文庫の 夏の百冊 、集英社文庫の ナツイチ も夏休み向けにリストを出してますが、新潮のリストが一番硬派な感じがします。
この新潮文庫の100冊リストに「点と線」はずっと載り続けているんです。この本に登場する時刻表を使ったトリックは余りにも有名で、「いつか読まなくっちゃ!」と思いつつ、何故か今まで読んだことがなかったのです。そして、読んでみた感想は一言、「すごく面白い!」。何で今まで読まなかったんだろう?
舞台は50年前の日本。トリックとは別に、当時の様子がとても面白く感じるんです。東京~博多間を特急「あさかぜ」で移動すると何と1日半!北海道へ行くには青函連絡船を使い、急ぎの連絡には電報を打っていたんです!電話が普及するのはこれ以降だったんですね。
この小説は「旅」という交通公社から出されていた雑誌に1年間連載されていたそうです。この本を読んで、時刻表や旅に興味を持つ人がさぞかし増えたのでしょうね。今ほど旅行が簡単にできる時代じゃなかっただけに、かなり衝撃的な物語として受け止められたんだろうなぁ!
やっぱり名作と呼ばれるものは、それだけのことがあるんだなぁと改めて感心してしまいました。この夏は、名作を追っかけてみようかなぁ!
図書館で借りたこの本は、光文社創業60周年記念出版で初版を忠実に復刻したものでした。このレトロな表紙がミステリー感をうまく表現しているような気がします。この復刻シリーズを追ってみようかなぁ。
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