『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』 武田邦彦
森林の減少、ダイオキシン、温暖化による水位上昇、環境問題としてわたしたちが気にしていることはたくさんあるけれど、それが実際には問題じゃないと言われたらどうしますか?
「ゴミは分別して出しましょう」というのは今や常識だけど、「燃焼効率から考えると分別しない方がいい」とか、「ダイオキシンは毒じゃない」とか、わたしたちが環境のために良いと思ってやってることが、実は大いなる勘違いであるという事例がこの本の中で次々に登場してきます。
CO2削減のためには森林を増やさなければならない → そのためには紙を無駄にしないように → 古紙は回収しリサイクル
という流れを、わたしは今まで疑ってみたことはありませんでした。でも、この公式が間違っているとこの本では言っています。「樹木=紙の原材料」 とは限らないのです。そういう考え方に、これまで何故気付かなかったんだろう?
そしてもう一つ、「地球温暖化で北極の氷が溶けて海の水位が上がる」というのも「×」
これも冷静に考えれば、氷の体積は水の約1.1倍。流氷だったら、水に沈んでいる部分が1で、水上に見えているのが0.1だから、これが溶けたとしても水位は変わらないのは、当たり前だよなぁ。誰だよ、こういうことを言い出したのは!
かなり大げさに書いてある点もあるので、100%なるほどというわけではありませんが、視点を変えてみると意外な発見があるという意味では、良い本だと思いました。そして、環境問題だからといって、やみくもに何かを信じてしまうことの怖さを感じる本でした。
誰かが言い出した「これは悪い」、「これは良い」という声をただ鵜呑みにするのではなく、「本当かな?」「それだけかな?」「どうしてこの時期にこれが?」というようなことを常に考えていなければいけないなと、改めて考えさせられてしまいました。
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