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『博士の本棚』 小川洋子

博士の本棚

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livedoor BOOKS
書評/国内純文学

 同じお母さんから産まれた兄弟でも性格が異なるのと同じで、小説も一冊一冊、背負っている運が違う。暗い小説だから暗い運、明るい小説だから明るい運、というわけではなく、内容とは全く無関係のレベルで、また作者の意図とはかけ離れたところで、本はそれ自体で自分の運命を生きる。(本文より抜粋)

 小川さんにとって「博士の愛した数式」は「やんちゃな末っ子」というイメージなのだそうです。「何をしでかすか予測不能だけど、愛おしい我が子」という気持が込められているんでしょうね。

 ご自分が書かれた小説が外国語に翻訳されていくことの不思議さ。自分が読んだ本に影響されて書かれたご自身の作品のこと。阪神ファンであること。アンネ・フランクに対する深い思い。故郷の町並みの思い出。学生時代の恩賜の言葉。愛犬ラブへの思いやり。

 そういう、様々なものが小川さんを作り上げているのだなと感じました。1人の人間は実に様々なものからできているのです。自分が意識しているものはモチロン、忘れてしまっているものからも。「あっ、こんな事もあったんだ!」と気付くとき、それは大事な宝物になるのですね。

 読書が好きで、図書館に入り浸っていたという学生時代のお話は、わたしにとっても懐かしい感覚が甦ってきます。ヒマがあれば図書館へ行き、学校の帰りには必ず本屋さんへ寄る。そうやって、幸せな気持を自分の中に貯めていたのだなぁと思えてきました。

 小川さんがお薦めの本が何冊も紹介されていました。村上春樹がお好きなんですね。「中国行きのスロウボート」を読んでみようかな。

 そして内田百閒先生の「サラサーテの盤」。これは映画「ツィゴイネルワイゼン」の原作としてパンフレットに書かれていて、封切りの後に読んだような気もするんだけど、これもまた読んでみましょう。

 そして最後に、小川さんの美しい文章を読んだ後だと、わたしの文章まできれいになってくるような気がします。美しい気持が、美しい気持を呼ぶ連鎖なのかな?

この本は 書評サイト 「本が好き!」 より提供して頂きました。どうもありがとうございました。 

773冊目

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コメント

こんばんは。
ご無沙汰してました~。
小川さんの日常、作り上げていることがわかって
とっても興味深かったです。
お薦めの本、読めそうになくて落胆してましたけど、
「サラサーテの盤」って映画「ツィゴイネルワイゼン」(見ました!)の原作だったんですね。
映画で勘弁ってわけには…(笑)。

トラバさせていただきました。
もしトラバ届かないようでしたら、先にしてくださいますか?。
9月24日の「夜明けの縁をさ迷う人々」からリンクしています。

藍色さん☆こんばんは
「ツィゴイネルワイゼン」を観たならOKでしょう。(#^.^#)
阪神と愛犬と可愛い息子さん、そして愛する本。
小川さんを作り上げている様々なもの、すべてがステキでしたね。

少し興味は惹かれるけれど、この本を読むのはずっとあとかな…、などと思っていましたが、こうやって Rokoさんの感想を読んでしまうと、刺激されて順番が繰り上がってきますね。
小川洋子さんは、ぼくにとって、いまひとつ謎の多い(わかっているようでいてわかっていない)作家さんです。

ディックさん☆順番が繰り上がりましたか?
小川さんの普段の姿が垣間見られて興味深いエッセイでしたよ。
是非、読んでみて下さいね。(^^)v

TBさせていただきました。

どれもすばらしいエッセイばかりでしたが、中でも犬のエッセイが読んでいて、心地よくなってきてすばらしかったです。

タウムさん☆こんばんは
小川さんも筋金入りの読書好きでしたね。
本に対しては硬派な小川さんだけど、愛犬とのやりとりはホノボノしていて、「ああ、こういう優しさっていいなぁ」なんて思いました。

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博士の本棚小川 洋子新潮社1575円Amazonで購入livedoor BOOKS書評/国内純文学_uacct = "UA-918914-3";urchinTracker(); ずいぶん前に読み終わっていたのですが、今頃感想UPです。 小川さんの日々や本に対する思いが垣間見れて... [続きを読む]

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