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『Gボーイズ冬戦争 池袋ウエストゲートパーク Ⅶ 7』 石田衣良

要町テレフォンマン
 振り込め詐欺から足抜けしたいというヨウジ。電話でならいくらでも話をできるのに、人前では弱気になってしまう彼は、マコトに助けを求めます。

 

詐欺師のヴィーナス
 悪質な絵画商法の店で絵を買ったというキヨヒコ。年収2年分もの額を払ったというのに、売りつけられた訳ではないと彼は言うのです。

 

バーン・ダウン・ザ・ハウス
 自分の家に火をつけてしまったユウキ。池袋の町で起きている放火騒ぎも、彼の仕業ではないかという目で周りの人達は見るのです。

 

Gボーイズ冬戦争
 池袋のGボーイズが襲撃された。それもNo.2のヒロト派ばかり。Gボーイの王タカシの仕業ではないかとヒロトは疑いをかけたのです。

 

 マンネリだ何だと言われてますけど、やっぱりIWGPの新作が発表されると読まずにはいられません。

 

 毎回思うことだけど、次から次へと新手の犯罪が登場してきますね。振り込め詐欺も、当初の「オレオレ」から進化して、ヨウジくんが関わっていたような何人ものチームでストーリーを作ってきたり。「あなたにお金を振込ますからATMで操作をしてください」というような手口まで登場しています。

 

 絵画商法も、キャッチセールスも、ネズミ講も、人を騙して金儲けをしようとする人がいる限り、どんなに取り締まった所でなくなりはしません。社会的に弱い者が、更に弱い者から搾取しようとする構図は、余りにも悲し過ぎます。

 

 

 

 NEET、フリーター、引きこもり、オタク。おれたちの社会は若いやつらを百万人単位で見捨てていくのである。(本文より)

 

 定職に就けない人達。職に就けても安定しない低所得に甘んじてしまう人達。その多くが若者です。少しでも人件費を削ろうとする社会が彼等を生み出しているのは確かです。短期的に見れば経費削減かもしれないけれど、長期的に見れば日本という国の将来に大きな打撃を与えています。

 

 正社員と非正社員の格差は年々広がっています。エリート街道を突き進む人達と、社会の底辺であえぎながら暮らす人達との2極化は、社会に大きなゆがみを作り出してしまいます。このままのシステムで進んでいったら、10年後、20年後どうなるのか?ということを社会全体で考えなければ!

 

 正社員になれば残業続きで燃え尽きてしまい、フリーターでいれば生活するのがやっと。あらゆる人が、私生活も仕事も充実することができる社会は、いつになったら来るのでしょうか?

 

 マコトくんとタカシくんのように、生きている世界がどんなに違っていようと、大事な時に助け合える友達がいるという事は、本当に素晴らしいことです。この厳しい世の中で生きていくのに一番必要なのが友情、そして信頼だと思うのです。

 

 会社と社員との関係にも、人と社会との関係にも、信頼はとても大事なものです。互いに信じ合うということの連鎖が、世の中を良い方に変えていくのだと、わたしは信じたいのです。

 

777冊目

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