ブログ内検索


  • ダメでもいいからやれ。
    体験もしないでお前ら、
    すぐに「ダメだ」って言うのは、
    学校で聞いただけの話だろう。
    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

読書Love!

  • 本が好き!
  • NetGalleyJP
    プロフェッショナルな読者
    グッドレビュアー 100作品のレビュー 80%

« 『ウィーン わが夢の町』 アンネット・カズエ・ストゥルナート | トップページ | 『仕事に活かす!本200%活用ブック』 日本能率協会マネジメントセンター »

『いっぺんさん』 朱川湊人

いっぺんさん
いっぺんさん
posted with amazlet at 07.10.24
朱川 湊人
実業之日本社

 「いっぺんさん」「コドモノクニ」「小さなふしぎ」「逆井水」「蛇霊憑き」「山から来るもの」「磯幽霊」「八十八姫」の8編からなる短編集です。

 わたしが小学生だった頃、子供は9時で寝なさいという家庭がほとんどでした。遅くまでやっている店はお酒を出すような店だけで、大人であっても普通は夜遅くまで外出するなどということはありませんでした。夜は暗く、怖いものであったような気がします。

 あの頃、学校が終わったら、すぐに広場や公園へ飛んでいって、ひたすら遊び続けていました。暑くても寒くてもお構いなしで、日が暮れるまで遊んでいいました。「また明日」と言って家に帰り、家族全員で夕ご飯を食べて、TVで野球かプロレスかコント55号を見て、お風呂に入って、寝る。シンプルだけど、それで充分だったあの頃の生活。

 その分、今よりも怖いなぁと思うことが沢山ありました。夜の闇、ホンコン風邪、怖い噂(体育館の裏にお化けが出るとか)、犬の遠吠え、(この本にも出てきましたけど)傷痍軍人さん、今よりもずっと平和な時代だったのにね。

 子供だからこそ怖いもの、大人だからこそ怖いもの。そういうものの存在を色々と想い出しました。でも、一番怖いのは人間なんだよなって、この本を読みながら思ったのでした。

784冊目

« 『ウィーン わが夢の町』 アンネット・カズエ・ストゥルナート | トップページ | 『仕事に活かす!本200%活用ブック』 日本能率協会マネジメントセンター »

日本の作家 さ行」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。Rokoさん。
TBとコメントありがとうございました。
いい雰囲気の作品でしたよね。
以前、よく近所の村祭りで傷痍軍人さんをみかけましたが、その時の記憶が戻ってきて、こんな変な部分で懐かしさを感じてしまいました。
こういう作品をたくさん書いてほしいですね。

ゆうさん☆こんばんは
子供の頃、総武線の列車の中で何度も傷痍軍人さんを見ました。あれは、チョット怖かったなぁ。
朱川さんが描く世界から、色んな事を想い出してしまいました。

こんばんは。
そうなんです!
夜は暗くて怖いものだった頃のこと、
シンプルだけど充分だった頃のこと、
懐かしく思い出させてくれるノスタルジックホラーでしたね。
「いっぺんさん」と「八十八姫」がとってもよかったです。

藍色さん☆おはようございます
現代の夜は明る過ぎて、ああいう怖さを感じることは無くなってしまいました。
当時は怖かったことも、今となっては懐かしさの方が勝ってますね。

Rokoさん、こんばんは。
そうでした、子どもの頃は夜が暗かった。
夜中の犬の遠吠えって怖かったなって今思い出しました。
子どもの頃の恐怖でさえ、懐かしい思い出ですね。

ななさん☆こんばんは
子供の頃には世の中に怖いものが沢山ありました。
大人になって何ともなくなっちゃったものが殆どだけど、怖いものがある子供時代って良かったなぁと思います。

夢中になって遊んでいるうちに周囲はいつの間にか暗くなっちゃって、家の明かりに向かって全力疾走したり。
つかの間、子どもの頃に戻ったような感覚を味わえるのが朱川さんの作品の魅力の一つなのかも知れませんね。
ゾクリとする話もあったけれど、今回も堪能しました~。

エビノートさん☆こんばんは
「カラスと一緒に帰りましょ!」みたいな子供時代を過ごせた自分はなんて幸せだったんだろうって、今更思ってしまいます。
朱川さんの世界って、やっぱりいいですよね。

アンソロジーに収録されていた「夜、飛ぶもの」を読んで朱川湊人さんが面白いと思ったのですが、次に読むとしたら、どの作品が良いでしょうか?「山から来るもの」は「夜、飛ぶもの」に題が似てるからこの短編集も良さそうですが、どちらかといえば、長編が好きなので、朱川さんのお勧め長編を御教示頂けると幸いです。

goldiusさん☆こんばんは
朱川さん、長編は出してないと思うなぁ。(^_^;
わたしは最初に読んだ「花まんま」が一番好きです。

七夕に『いっぺんさん』の朗読会を致します。
朱川さん作品をお好きな方に、ご興味を持って頂きたく、
唐突なお知らせをお許しください。

ご来場いただけたら、とても光栄です。
http://katarito.blog108.fc2.com/

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『いっぺんさん』 朱川湊人:

» いっぺんさん 朱川湊人 [かみさまの贈りもの~読書日記~]
いっぺんだけ願いを叶えてくれるという神様を探しに出かけた少年達に纏わる切ない表題作『いっぺんさん』を初めとして、奇怪な出来事を鮮やかに描いたホラー短編8編。 怖さ、懐かしさが見事にブレンドされ、そして、少しだけグロテスクなエッセンスが混ざり合っていて、...... [続きを読む]

» いっぺんさん 朱川湊人 [粋な提案]
装画は宇野信哉。装丁は坂川栄治+永井亜矢子(坂川事務所)。初出は月刊J-novel。短編集。 表題作。どんな願いもいっぺんだけ叶えてくれる神様を探す2人の少年。語り手のうっちんと友だちのしーちゃん。願い事を叶えた神様... [続きを読む]

» 「いっぺんさん」朱川湊人 [ナナメモ]
いっぺんさん (いっぺんさん) 朱川 湊人 どの物語も子供が主人公。まだ無垢で無知な子供が主人公だからこその物語なのも知れないですね。朱川さんらしいノスタルジックな世界、そして思わずゾクリのラスト。ゾクリとするんだけど、人間の愚かしさやあたたかさなんかもちゃんと出ているので、怖がりの私も読めます。 「コドモノクニ」の昔話に関連付けた子供の物語はぞっとします。「八十八姫」の物語が印象的。... [続きを読む]

» いっぺんさん 〔朱川 湊人〕 [まったり読書日記]
いっぺんさん (いっぺんさん)朱川 湊人 実業之日本社 2007-08-17売り上げランキング : 43486おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools ≪内容≫ 『花まんま』の直木賞作家が描く命と友情と小さな奇跡の物語。 田舎で出合った8つの不思議ストーリー。 (BOOKデ....... [続きを読む]

« 『ウィーン わが夢の町』 アンネット・カズエ・ストゥルナート | トップページ | 『仕事に活かす!本200%活用ブック』 日本能率協会マネジメントセンター »