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『バール、コーヒー、イタリア人』 島村菜津

 イタリアに旅してまず驚くのはバールの多さです。わたしはミラノにしかいったことがありませんけど、街の1ブロックに一軒ずつバールがあるって感じでした。朝早くから開いていて、通勤前の人達がエスプレッソやデニッシュを頼んでいる姿を沢山見かけました。

 昼にはパニーニやドルチェがあるし、簡単な食事ならできるし、夜にはお酒も出すし、バールは喫茶店というより、もっと広い範囲をカバーするお店です。だけど、一番大事にしているのはコーヒー。もちろんイタリアでコーヒーと言えばエスプレッソです。

 日本で飲むエスプレッソは苦いだけというイメージがあったのですが、イタリアで飲んだエスプレッソは、本当に目からウロコでした。とにかく、どこで飲んでも美味しいんです!

 バールのコーヒーが美味しい!ドライブインのコーヒーも美味しい!レストランのコーヒーはモチロン美味しい!ホテルの自動販売機のような機械で出てくるコーヒーですら美味しい!ハズレが一つも無かったんです。オマケに安い、日本円にして100~150円ですよ!

 日本だと、かなりちゃんとしたイタリア料理店で、ドルチェも頑張ってるのに、コーヒーだけが美味しくなくてガックリしちゃうことが多いんです。あれって何故なんでしょうね?せっかく美味しい料理を食べても、最後のドルチェとコーヒーが美味しくなくっちゃダメですよ!

 その昔、ローマの友人が、こんなことを教えてくれた。「ナポリにはね、カフェ・ソスペーゾといって、誰か、ゆとりのある人がバールに入って、一杯のエスプレッソを飲んで、2人分のエスプレッソ代を払っていく。すると、その後から懐の寂しい人がやってきて、バールの主人に『カフェ・ソスペーゾある?』と訊ねる。主人がこっくり頷けば、その人はただでエスプレッソを飲めるってわけなの」(本文より)

 こういうのが、本当のゆとりってことですよね!
 今も、こういう気持を大事にしている人が日本にはどれだけいるんだろう?

 エスプレッソといっても、イタリア全土で同じようなエスプレッソを飲んでいるわけじゃないんだそうです。一年中温暖な南部と、冬はかなり寒くなる北部では、おのずと嗜好が違ってくるし、地域ごとに味にこだわりがあるんですって。

 だからイタリアでは全国チェーンの店というのがやりにくいんですね。そんなわけで、スタバはイタリア上陸ができません。そんな中で、イタリア全土でチェーン化に成功しているのがオートグリルというお店です。(ベネトンが経営してるってことを、この本で知ってビックリ!)

 空港やドライブインにもあるので、どこでコーヒーを飲んだらいいのか分からないときには、とりあえずここに行ってください。パニーニやフレッシュジュースが美味しいし、ちょっとしたおみやげも売ってます。(ドライブインのお店ではパネットーネや生ハムまで売ってました。)

 本来のリクリエーションという言葉の意味は、ふたたび創造する、であって、仕事が終わって、ふと自分自身に戻った時、その時間をいかに過ごすかによって、もう一度、自らを再生できるか、といった深い意味があるんだと思う(本文より)

 バールという場所は、地元の人達の集会場という側面もあります。サッカーや自転車のサークルの人達のミーティング場所であったり、ご近所の人達の茶の間のような役割も果たしているんです。だから街の事を知りたかったらその街のバールの主人に聞けと言われるのだそうです。

 人生を楽しむために仕事をするのだということを、イタリア人はよく分かっているなぁと思います。だから、仕事は時間できっちり終えます。だって、家に帰って家族全員で美味しい御飯を食べたいから。それって、家族の基本じゃないですか!

 家族のためと言って遅くまで仕事をして、実は家族を崩壊させていることに、日本人は気付くべき時期に来ていると思います。少子化対策だ、ニート対策だって言うなら、ワークシェアリングを始めとした、労働環境を見直さなくっちゃ!

 仕事に行く前にエスプレッソを一杯!お昼を食べたらまた一杯、一区切りついたらまた一杯、イタリアの人達はバールを生活の区切りに上手く使っているんだなぁ!

 スタバやドトールのようなコーヒー店が日本ではメジャーですが、バールとはもう一つセンスが違うんだなぁって感じます。サクッと立ち飲みというスタイルが女性客が多い日本ではウケないのかなぁ?

 イタリア・スタイルのバールが日本にも増えるといいなぁ!どうしても増えないなら自分でやっちゃおうか!

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コメント

COCO2です。コメント有り難うございました! 確かにイタリア風のバールって日本にないですね。効率重視では、生まれにくい発想なのでしょうか。またお邪魔しま~す。

COCO2さん☆こんばんは
そろそろ日本も、効率だけじゃなく質やセンスを重要視した社会を目指すべき時期になってきたと思うのですが、まだまだ目先のことばっかりの人が幅を利かせてますねぇ。

>スタバやドトールのようなコーヒー店が日本ではメジャーですが、バールとはもう一つセンスが違うんだなぁって感じます。
成る程~。コーヒー好きなもので、興味深く読ませていただきました(^^)
文化や風土の違いも大きい気もしますが、商売をはじめ利益を上げるための発想ではなく、人が必要とするから当たり前にそこに存在する・・・と言う感じがいいですね~。
>イタリア・スタイルのバールが日本にも増えるといいなぁ!どうしても増えないなら自分でやっちゃおうか!
Rokoさん是非やっちゃってください!

イタリアに行ったのはもう20年も前ですが、バールにはお世話になりました。
商売ってもちろん効率が上がらないとやっていけないのですが、採算を度外視するとすごく楽しいことがいっぱいころがっていたりするのですよね。

バールの印象はというと、日本の喫茶店やカフェよりももっと地元密着商店っていうかんじでした。

faywayさん☆こんばんは
ミルクやフレーバーを駆使したコーヒーもいいんですけど、純粋にコーヒーだけで美味しいってのを飲みたいなぁと常々思っています。
悪魔のように魅力的なコーヒーが、わたしも大好きです。

ゆみりんこさん☆こんばんは
全国どこへ行っても同じような店ばかりじゃつまらないです。
バールは地元密着型だからこそ、より個性的なお店になっていくのでしょうね。
バールにしても、パブにしても、ヨーロッパのお店って立ち飲みが多いのは何故なのでしょう?

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