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『月島慕情』 浅田次郎

月島慕情
月島慕情
posted with amazlet at 07.11.23
浅田 次郎
文藝春秋

月島慕情
 月島の時次郎さんのところに身請け話が決まった生駒太夫さん。これから所帯を持つことになった月島をちょっと眺めてきたくなったのです。

供物
 酒乱の夫が怖くて着の身着のまま家を飛び出してから、もう20年以上が経った。その後、再婚して幸せに暮らしている。ある日、前夫が亡くなったという知らせが届いた。

雪鰻
 北海道の自衛隊駐屯地でわたしは当直勤務についていた。夜中に突然電話が鳴った。師団長がこんな時間に1人で帰ってきたのだ。みやげの鰻を持って。

インセクト
 田舎からせっかく東京の大学へ入学したというのに、大学では学生運動が激しくなって、授業は休校ばかり。仕方ないので悟はバイトに精を出している。

冬の星座
 雅子の育ての親であるおばあちゃんが亡くなった。その通夜に行ってみると、知っている人、知らない人、様々な人がやって来た。

めぐりあい
 ときちゃんは目が不自由で、マッサージをなりわいとしている。電話で呼ばれて、あるお客さんのマッサージをしているうちに、昔のことを想い出した。

シューシャインボーイ
 塚田さんは元は銀行員だった。リストラする側となって疲れ果ててしまい、会社を辞めた。そして半年後、ある中堅企業社長のお抱え運転手として再就職をした。

 どの物語も、少し昔のお話しです。昔だって今だって、色んな人生があります。だけど昔の人の方が謙虚さがある分、優しさを感じてしまうんです。

 冬の星座の主人公は、亡くなってしまったおばあちゃんでした。彼女の優しさがいろんな人を惹きつけていたんだなぁと思います。宅配便のお兄さんにも、暴走族の若者達にも、おばあちゃんの優しさがまっすぐ伝わっていたからこそ、彼等はやって来たんでしょうね。

 最後に登場した「冬の星座」の歌は、わたしも知っています。歌詞を見ながら思わず口ずさんでしまいました。そして、ちょっぴり涙が流れてしまいました。

 シューシャインボーイの菊治さんもステキでした。毎日靴を磨きながら息子の幸せを祈っていたのでしょうね。口数は少なくとも、心はちゃんと伝わってますよ。

 浅田さんの人情ものはやっぱりいいですね。わたしも主人公の気持ちになって、悩んだり、喜んだりしてしまいます。どんな時にも、最後の支えになるのは優しい気持ちなのですね。

798冊目

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