『恋する水門 - FLOODGATES』 佐藤淳一
わたしはずっと川のそばに住んでいる。わたしが通っていた中学校は荒川のすぐそばにあり、いつも川を眺めて過ごし、いつも水位が頭の上にあることを意識していた。橋を渡らなければ、どこへも行けない。
部活が終わって空を見上げれば、土手の上に夕焼けが広がっていた。川の水は、普段は案外キレイで静かに流れていたが、大雨の次の日にはにごった水が流れていた。
水門の存在は何となく気になっていた。でも、わたしが育った町の水門は閉じていることが多かった。それに引き替え、今住んでいる場所の近くの水門は、普段は開いているところが多い。
町を守るためにある水門なのに、閉じていると、そこから先に行けなくなりそうな不安な気持ちになってしまう。でも、開いていると何だか不安定な気持になってくる。
川のそばを歩くと気持ちがいい。遠くから見たときには気が付かなかったけれど、近づいてみると水門はとても大きい。
ただ水門があるだけでなく、信号が付いているところもある。船が通過するときに使うのだろうが、実際に信号が機能しているところを見たことはない。
水門の色は赤だったり、青だったり、とても鮮やかな色をしている。今日のように曇った天気だと、その色が余計に鮮やかに見えてくる。
昔は荷物を運ぶ船がたくさん通っただろう水路だけど、今はたまにしか船が通らない。イギリス人のように水路を廻る旅はできないのだろうか?
そんなことを考えたり、考えなかったりしながら川のそばを歩くのが好き。
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