『裁縫師』 小池昌代
裁縫師
わたしがまだ9歳の子供だったころ、近所にひとりの裁縫師が住んでいた。
女神
「かぜだまり」という駅のある町にぼくは引越をした。そこは急行が通過してしまうような小さな町で、その分静かな町並みが広がっていた。
空港
実家で大喧嘩をしてしまった洋子は、大晦日だというのに実家から逃げ出してしまった。それ以来、帰省したことはない。
左腕
恵子はタクシーに乗っていて事故にあった。その時は何ともなかったのだけれど、数日後に左腕が痛くなった。
野ばら
美知子は緑茶を愛する少女である。忙しい母親に替わって夕食の支度もしている。
どの物語も、日常の描写から始まるのだけど、その先の展開にビックリしてしまいました。
毎日繰り返される取り立てて変化のない生活。それが普通だと信じて生きているのだけれど、実はちっとも普通じゃなかったことに気付く「野ばら」と「空港」に、何とも言えない怖さを感じました。
毎日少しずつ少しずつ何かが変わっていきます。何の変化もない毎日などないのです。ただ、それに気付かないだけなのです。少しずつの積み重ねが、目に見えるほどの大きさになったときに、始めてそれに気付くというだけのこと。
それに気付かなかったのか?と自分に問いただしてみると、実は気付きたくなかったのだと思うことがあります。見て見ぬ振りをすることがいいのか、悪いのか。自分のずるさに身震いしてしまうのです。
小池さんの視線はいつも冷静で、とても怖いと思ってしまうのです。それは、わたし自身のずるさを見透かされているように思えるからでしょうか。
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こんにちは。
日々の積み重ねなんだけど、気がついてみたらとんでもない場所にいる自分に気がつく。
ゾッとする感覚ですよね。
ひっそりとしていて、そしてゾクリとする物語でした。
投稿: なな | 2007年12月 3日 (月) 15:14
ななさん☆こんばんは
普通のすぐ隣にあるとんでもない場所へ行ってしまって、二度と帰れなくなりそうな怖さを感じました。
(*_*)ブルブル
投稿: Roko | 2007年12月 3日 (月) 19:46