『米原万里の「愛の法則」』
この本は4つの講演の記録です。
第1章 愛の法則
第2章 国際化とグローバリゼーションのあいだ
第3章 理解と誤解のあいだ
第4章 通訳と翻訳の違い
この本のタイトルは、実はこの本には合っていないと思います。あえてこの本のタイトルと付け直すとしたら、「理解と誤解、分かっているつもりが一番怖い」というところでしょうか?
「国際化」と言うとき、日本人が言っている国際化は、国際的な基準に自分たちが合わせていくという意味です。国際村に、国際社会に合わせていく。
アメリカ人が言うグローバリゼーションは、自分たちの基準を世界に普遍させるということです。自分たちは正当であり、正義であり、自分たちが憲法である。これを世界各国に強要していくことがグローバリゼーションなのです。(本文より)
ある言葉、ある事象に対して自分がこう考えているから、相手もそう考えているのだと考えたら大間違いなのです。相手が何を考えているのかは、相手の意見を聞いてみなければ分からないのです。それと同じように、自分の意見をキチンと言えなければ、自分の意見は相手に伝わらないのです。
自分が正しいと思っているから、自分の思い通りにしたいから、話すということに情熱を持てるのです。自分に自信がなかったり、通したい主張がないから、話すことが不得意になってしまうのです。
MLBとかNFLとかNBAの選手へのインタビューを聞いていると、彼等は実によく話します。ジョークも交え、これでもかというくらいにしゃべりまくります。それに引き替え、日本のアスリートのインタービューは「一生懸命がんばりました!」「努力します!」「応援よろしくお願いします!」だけだもんなぁ~!
これって、決して個人だけの問題じゃないと思うんですよね。人前で話すという練習が圧倒的にに足りないなぁと思うことが多々あります。独り言じゃないんだからね~とツッコミを入れたくなるようなことが多くって、そんな人達全員にこの本を読んでもらいたいなぁと思います。
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