『すべての愛について』 浅田次郎
この本は、いろんな方との対談をまとめた本ですが、直木賞受賞のすぐ後あたりが多いみたいですね。賞をもらうのはうれしいけど、その後はとにかく忙しくて、原稿を書くヒマがなかったのですって!でも文章を書くことが好きで好きでたまらないからこの仕事をしているのだという浅田さんのバイタリティを感じました。
浅田さんより若い方との対談だと、どうしても浅田さんの方がパワーがあって、対談というよりも、浅田さん中心の話になりがちですね。だから、同年代の北方謙三さんや草野仁さんとの組み合わせの方が、相手の話に「へぇ~、そうなんだ!」とビックリしている浅田さんの顔が見えるようで、こういう感じの方がいいなぁと思いました。
作家という仕事は、何だかんだいっても最後は体力なんだから!自衛隊出身者は作家に向いてますよ。というオチが何度も出てきて、ムフフと笑ってしまいました。
連載を何本も抱え、終末には競馬場へ出かけ、毎日犬の散歩をし、講演会に年30回ほど出かけ、どう考えてもムチャクチャ忙しいのに、執筆活動は楽しくてしょうがないのだと浅田さんは、何度も語っています。そして、毎日1冊位は本を読んでいるというのもすごいなぁと思いました。
最大の悩みは、本屋さんへふらっと行くことができなくなったことなんですって!なるほどねぇ、本が好きで好きで小説家になってしまったほどの人だから、本屋さんへ行くのも大好きなのに、その点はちょっと可哀想だなぁ。
山本一力さんとの歴史小説と貧乏自慢はかなりなものでした。(#^.^#)
お二人とも人間が好きなんですね。人間を描くのに歴史小説はいいんだよねぇと意見が合ってましたね。そして、神様を拝むということの本当の意味も。
(浅田)祖母と近所を歩くと、天神様の前で必ず拝む。そのとき祖母に「おまえ、いま何をお願いしたんだい?」と聞かれて、「勉強がよくできるようになりますように」と答えたら、怒られた記憶があります。「ああせい、こうせいと頼めば叶うほど、神様や仏さんは甘くはないよ」と。そして、あえてねがいごとをするならきちんと願掛けしなければならないんです。
(山本)私もまさに、そう言われました。「ポロンと賽銭出したぐらいで、願いごとをするなんてとんでもない。ちゃんと中へ入って、神主に頼め」と。
821冊目(今年4冊目)
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