『タルト・タタンの夢』 近藤 史恵
表紙に描かれているのは、フレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」の三舟シェフです。
ビストロ・パ・マルはカウンター7席、テーブルが5つという小さなレストランです。フランス料理といっても、家庭料理っぽいメニューが評判の、気さくなレストランです。、
タルト・タタンの夢
タルト・タタンとは、りんごがバターでキャラメル状になっていて、さくさくのタルトの上に乗っているデザートです。
ロニョン・ド・ヴォーの決意
ロニョンとは、仔牛の腎臓です。
ガレット・デ・ロワの秘密
ガレット・デ・ロワとは「王様のお菓子」という意味。フランスでは1月6日の公現祭(東方の三博士が星に導かれて、ベツレヘムで生まれたばかりのキリストを訪ねた日を祝うもの)に食べるお菓子です。
オッソ・イラティをめぐる不和
オッソ・イラティは、バスク地方の羊のチーズです。
理不尽な酔っぱらい
同じ商店街の甘味屋さんの店長さんが、友達と連れ立ってやってきました。
ぬけがらのカスレ
カスレは、塩漬けの肉を茹でこぼして、塩と油気を少し抜いた後、たっぷりのインゲン豆と、豆と同じくらいの大きさに切った野菜を一緒にとろとろになるまで煮込み、そのあとパン粉をたっぷりかけてオーブンで焼いたものです。
割り切れないチョコレート
評判のチョコレート専門店「ノンブル・プルミエ」の詰め合わせは、どれも半端な数なのです。
この本はミステリーなんですが、それよりも登場する食べ物に心奪われてしまって、困ってしまいます。バスク地方やアルザス地方の家庭料理、バゲットとフォアグラをあぶったものとの組み合わせとか、どれもこれも美味しそう!
そして、心優しきシェフが作ってくれるヴァン・ショーは、身も心も温めてくれるんでしょうねぇ。気取った料理だけがフランス料理じゃないんだなって発見ができました。
サクリファイスの時にも思ったのですが、近藤さんはヨーロッパの文化について随分と詳しいのですね。また違った切り口でヨーロッパの話を書いて欲しいなぁと思います。
827冊目(今年10冊目)☆☆☆☆☆
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美味しい料理にうっとりしながら、同時に謎解きの楽しさも
楽しめる。最近、こういうグルメミステリーとも言うべき物語を
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出すのは、なかなか大変なことかもしれません。
単なるウンチクものになっても詰まらないですしね。
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こんばんは。
優しいミステリーでしたね。
「サクリファイス」との二作で、近藤さんがヨーロッパの文化について詳しいって見抜くなんて、すごいです。
食べ物の説明、おいしそうで、よだれが出そうでした(恥)。
投稿: 藍色 | 2008年1月27日 (日) 03:05
藍色さん☆お腹空きましたよね!
近藤さんには、ヨーロッパを舞台とした小説をドンドン書いて欲しいなぁって思います。
次は、どこが舞台かなぁ?
投稿: Roko | 2008年1月27日 (日) 10:11
読む前におなかがすいてしまいました。
こんなにおいしそうなタイトルなのにミステリーなのですか?おいしい料理の描写のほうに気がいってしまいそうですね。
投稿: ゆみりんこ | 2008年1月27日 (日) 12:35
ゆみりんこさん☆ぐぅ~ですか?
おいしそうなタイトルでしょ!なのにミステリー!
是非読んでくださいね。
投稿: Roko | 2008年1月27日 (日) 16:52
こんにちは。
カキコありがとうございました。
面白かったですね~
近藤さんの書く日常ミステリ大好きです。
シェフは最初どんな方なのだろうと思っていたのですが、優しい方でしたよね^^
是非ともシリーズ化してほしいなぁと思います。
投稿: 苗坊 | 2008年2月10日 (日) 12:33
こんばんは♪とっても美味しそうなお料理ばかりで、たまらなくお腹が空きました。
三舟シェフの私生活が知りたい私です。恋人とかいるのかしら~、何て想像するのも楽しい作品でした。あれ?独身と決めてますね(笑)
投稿: ERI | 2008年2月10日 (日) 19:08
苗坊さん☆
シェフの推理は素晴らしかったです。
最初は恐そうだったけど、実はとっても優しい人でしたね。
ERIさん☆こんばんは
そういえば、三舟シェフの私生活は何も書かれていませんでしたね。
そういう意味でも、続編希望です。(^_^)/
投稿: Roko | 2008年2月10日 (日) 22:10
こんにちは。
>近藤さんはヨーロッパの文化について随分と詳しいのですね。
なるほど。そうかもしれませんね。
料理がとても美味しそうでした。
こうやって気軽に食べられるフランス料理のお店がちかくにあったらいいのにな。
投稿: なな | 2008年4月21日 (月) 16:21
ななさん☆こんばんは
そうですよね、こんなお店が近所にあったら、しょっちゅう食べに行っちゃいますよね!(*^_^*)
投稿: Roko | 2008年4月21日 (月) 20:38
私もおいしそうなお料理にすっかり心を奪われました。
そしてしばしば登場する心まで温めるヴァン・ショー。
飲んでみたいです!!
次はヴァン・ショーがタイトルになっているし、今から楽しみです。
投稿: june | 2008年6月16日 (月) 21:42
juneさん☆こんばんは
へぇ、次回作はヴァン・ショーがタイトルですか!
これも期待できそうですね。(*^^)v
投稿: Roko | 2008年6月16日 (月) 22:12
こんにちは。Rokoさん。
TBとコメントありがとうございました。
読後感がよく、おまけに味覚まで刺激されて、しあわせな気持ちになれた作品でした♪
新刊が楽しみです。
投稿: ゆう | 2008年7月26日 (土) 15:28
ゆうさん☆こんばんは
ホント、幸せな気持ちになる本でしたね。
こんなお店があったら行ってみたいですねぇ!
新刊は、只今予約中です。
投稿: Roko | 2008年7月27日 (日) 00:19
コメントとTBありがとうございました。
わたしは食いしん坊なので食べ物の話は昔からすきだったのですが、「タルト・タタンの夢」は料理を食べた後のような幸せな気持ちになる作品でした。シェフが解決するのも殺人のようなヘビーな内容ではなく、日常のささいな出来事なのが逆によかったかもしれません。
投稿: 日月 | 2008年11月 2日 (日) 13:55
日月さん☆こんばんは
食べ物がらみのミステリーって、一口で二度美味しいって感じですよね。
続編も面白いですが、更にシリーズ化するといいなぁって思ってます。(*^^)v
投稿: Roko | 2008年11月 2日 (日) 19:42
こんばんは!美味しいミステリっていいですよね~♪食いしん坊なのでたまりませんでした。(笑)
どれも良かったですが私は「割り切れないチョコレート」が一番好きだったかな~?数学好きのツボをつつかれました。(笑)どれも口当たりのいい料理をパクパク食べるみたいに読み心地が良くてよかったです。(^^)
投稿: 板栗香 | 2009年2月24日 (火) 19:54
板栗香さん☆お腹空いちゃいますね。
「パ・マル」みたいなお店があったらなぁって思いながら読んでました。
三舟シェフって不思議な人ですよね。
投稿: Roko(板栗香さんへ) | 2009年2月24日 (火) 21:33