映画 「ジプシー・キャラバン」
映画の最初のシーン、楽器を持った子供が数人いて、その周りを大勢の子どもたちが取り囲んでいます。楽器の演奏が始まり、しばらくすると周りの子供たちが一斉に歌い始めます。その素晴らしいこと!いきなり鳥肌ものです!
ジプシー音楽の源流がインドだってことを、この映画で初めて知りました。
ルーマニア、スペイン、マケドニア、インドという4つの国から5つのバンドが集まり、アメリカ大陸を6週間にわたってツアーをしたのです。その様子を追いかけ、更に彼らの故郷の町を取材したフィルムで構成された映画です。
ジプシー、あるいはロマと呼ばれる彼らは社会の中では低い階層の人間として扱われることが多いのです。いわれのない差別を受け、経済的にも厳しい生活を余儀なくされていることが多いのに、彼らは決して明るさを失わないのです。
ルーマニアやマケドニアは、かつては共産主義の国でした。だから音楽だけで生計を立てるなど、とても考えられない状況だったのに、ちゃんと自分たちの音楽を守ってきています。
インドはカースト制度の国ですから、楽師のカーストというものがあるのだそうです。だから楽師は絶対に踊らないのだと、ポスターの下の写真の人、クイーン・ハリシュ・クマールは語っていました。彼らの音楽はあんなに素晴らしいのに、身分は不可触民なのです。
彼らの故郷の村の映像を見ると、これが現在の映像だとはとても思えないような風景が広がっています。ルーマニアで荷車を引くのは馬、インドではラクダでした。ルーマニアのバンドは、CDの売り上げで村に電気を引いたのだと言っていました。
ツアーの最初のころは、お互いに何をするんだろう?という雰囲気だったのが、だんだんと打ち解けていくのは、同じ民族の血のせいでしょうか?それとも、音楽の力なのでしょうか?
スペインのフラメンコも、ジプシーの音楽から生まれたものだったんですね。人生の厳しさ、苦しさ、悲しさ、楽しさ、そのすべてが彼らの音楽の力になっているのだということが、力強く伝わってくる映画でした。
音楽好きだったら、是非見てください!素晴らしい映画でした。
製作年 2006年
製作国 アメリカ
原題 WHEN THE ROAD BENDS: TALES OF A GYPSY CARAVAN
時間 115分
監督 ジャスミン・デラル
@渋谷シネアミューズ
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