『愛は脳を活性化する』 松本元
われわれは情を受け入れ(価値を認めて)、意が向上し(脳の活性が上がって)、知が働く(脳が働く)生物であることがわかる。すなわち、情がマスター(主人)で、知はスレーブ(従僕)である。脳は意欲で働くのである。特にわれわれは、人から受け入れられ、人からわかってもらうことで意欲があがり、知が働くように作られている。(本文より)
脳は人間のすべての部分を制御しています。手足などを意識的に動かすこともできるし、どうしようと考えることなしに動かしている心臓のような部分もあります。考えることも、もちろん脳の働き出し、「心」と言われている部分も結局は脳です。
何かをしたいと思うのも、したくないと思うのも、どちらも脳の選択なのです。
この世に生れて来て以来、わたしたちは様々な学習をして、それを脳に蓄積してきました。「こういう場合には、この方法でやると上手くいく」「あれは美味しい」「あの人は苦手だ」などというデータがそれぞれの人間の脳の中に詰まっています。
その情報を否定するようなことに直面したとき、反応は大きく2つに分かれます。「へぇ、そうだったんだ!」と素直に認めるタイプと、「そんなこと認められるか!」と否定するタイプです。「地動説」が発表された時に「地動説」こそが正しいと主張した人たちなどが典型的な否定タイプですよね。
長い年月をかけて構築してきた自分の考え(信念、常識など)を否定されると、それに抵抗しようとするのは、脳の働きとしては正常な動きなのだそうです。でも、そこで留まってしまっては何の進歩もありません。そこで新しい学習をするからこそ、人間は進化し続けてきたんですよね。
とはいえ、「進化論」だって今だに認めていない人たち(人間は神の姿に似せて作られた特別なものであり、他の動物とは違うのだと信じている宗派)がいるのですが、この辺りになると主義主張の問題なのか、利権の問題なのか分からないですね。
脳は「できる」と確信すると、その「確信」の論理的な後ろ盾を与えるべく認知情報処理系がフル活動する。そのため「できる」と確信したことは必ずできるようになる。逆に「できない」と確信してしまうと、脳は「できない」ことの論理的理由を明らかにするように働き、できる可能性をどんどん縮小する方向に働く。
どんなことであれ、「できる」という確信を持てるかどうかがすべてなんですね。それなのに、「できない」と思ってあきらめている人、「できない」と思いつつ努力している人の多いこと!これは悲しい事実です。
まずは「できる」と自分自身が信じること。そして、それをバックアップしてくれる人の「信じてるよ」という声援。それこそが自分の能力をフルに発揮する秘訣なのだと、この本は教えてくれました。
みなさん、是非読んでください。「自分の脳ってすごいんだ!」ってことを確信するために!
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