『科学の扉をノックする』 小川洋子
小川さんの素晴らしさは、何といってもその好奇心です。とにかく興味を持ったら知りたくなるのです。まずは文献を読んで想像してみます。ああでもない、こうでもないと想像して、そしてその分野に詳しい方に教えを請うのです。
そして、想像とはまったく違う事実に驚き、自分がこれまで知らなかった世界の広がりに子供のようにはしゃぎます。とはいっても、教えてくださる方に心からの感謝の気持ちを持つことも忘れずにね。
こういう素直な気持ちで聞いてくれる生徒を前にすると、教える方の気持もいいのでしょうね。みなさん、とても誠実に教えてくださるのです。
我々の身体の炭素や窒素は、50億年以上前に、どこかの星でできたものなんです。しかもその星は爆発して、今はもうなくなっているんです。(1章より)
地球の元素を植物が摂取して、動物が食べて、それを私たちが食べている。そして地球の元素は宇宙から来たんです。私たちの身体は宇宙のひとかけらなんです。大きな生命から、その一部として生まれ、また大きな生命に還る。私たちの身体は間違いなく循環しています。(3章より)
1章 宇宙を知ることは自分を知ること 渡部潤一と国立天文台にて
2章 鉱物は大地の芸術家 堀秀道と鉱物化学研究所にて
3章 命の源”サムシング・グレート” 村上和雄と山の上のホテルにて
4章 微小な世界を映し出す巨大な目 古宮聰とスプリングエイトにて
5章 人間味あふれる愛すべき生物、粘菌 竹内郁夫と竹内邸にて
6章 平等に生命をいとおしむ学問”遺体科学” 遠藤秀紀と国立科学博物館分館にて
7章 肉体と感覚、この矛盾に挑む 続木敏之と甲子園球場にて
ミクロの世界の話をしても、宇宙の話をしても、結局たどり着くところは1つなのですね。過去とも、未来とも、わたしたちはどこかで必ずつながっているなんて、考えてみれば壮大な話ですよね。
小川さんをマネして、わたしも未知の世界の扉をノックしてみようと思います。トントン・・・
895冊目(今年78冊目)☆☆☆☆☆
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「博士の愛した数式」で、数学の持つ「美」に開眼した小川さん。
今度は、科学という、大きなジャンルにノックです。
小川さんが、それぞれの分野の第一人者に、頬を染めて
話を聴いている、その初々しい感じが、とてもいいですわ。
小川さんという聞き手が柔らかで感受性に満ちているので
お話をされる偉い先生たちも、自分のカードを、思わず深くまで
見せてしまっている、そんな感じ。
私も、小川さんに負けず劣らずの理系ダメダメ人間なんですが
それだけに、小川さんが感じるあれこれを、同じように新...... [続きを読む]
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こんにちは。小川さんの感受性の柔らかさ、しなやかさが伝わってくる、素敵な一冊でしたね。少女のように初々しい感性の小川さんに、各界の先生方が、何でも教えてあげたくなっちゃうの、わかります。世界は驚きに満ちていますね♪私も、小川さんといろんな世界を知りたくなりました。
投稿: ERI | 2008年6月26日 (木) 17:47
ERIさん☆こんばんは
>世界は驚きに満ちてますね♪
ホントにビックリしちゃうことばかりです。
聞き手の感性が、先生たちの気持ちを動かしているんだなぁってことをヒシヒシと感じましたね。
投稿: Roko | 2008年6月26日 (木) 23:37