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『ぼっけえ、きょうてえ』 岩井志麻子

ぼっけえ、きょうてえ

岩井志麻子(いわい しまこ)

角川文庫

 「ぼっけえ、きょうてえ」とは、岡山地方の方言で「とても、怖い」の意味です。

 この表紙の絵(甲斐荘楠音作「横櫛」)が気になってしょうがなくて、この本を手にしました。表紙の絵も怖いけど、中身からもじわじわとした怖さが押し寄せてきます。

 売春禁止法ができたのがちょうど50年前のこと。それまでは遊郭というのは公然の場所でした。それと同じように、人の売り買いというのも、昔は公然と行われていたそうです。一応年季奉公という名目にはなっていても、実際には人身売買と変わらないようなことが、普通に行われていたのだそうです。

 食べるものがなくて飢え死にするより、ご飯をちゃんと食べさせてくれる所へ売られる方が幸せさと、うそぶく人がどれだけいたのでしょう?

 

 この本に登場する女たちは、みんな悲しい身の上です。金のために売られていったり、せっかく嫁に行っても近所の人たちから「あの女は酌婦だったんだから」とさげすまれたり、村八分にされていたり、人間扱いされていなかったり。

 そんな女たちにだって、きっと夢があったり、希望があったりしたのだろうけど、いいことなんて何にもないんです。一度、普通の人の枠からはみ出てしまったら、二度と戻れなくなってしまうんです。世の中の人たちはみんな理不尽な理由で、女たちをいたぶるのです。

 

 生きている人と死んでいる人との境目すら分からないような世界に生きている人たちが話す物語を読んでいると、神様とか仏様にも手出しができない世界があるのではと思えてくるのです。

 

898冊目(今年81冊目))☆☆☆☆☆☆(絶対オススメ!)

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