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『非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパーク Ⅷ 8』 石田衣良

 現代の若者が可哀そうなのは、本気で怒ってくれたり、親身になって心配してくれる大人がそばにいてくれないことだと思うのです。マコトくんに出会うことができた人は、それだけでも幸運なのかもしれません・

千川フォールアウト・マザー
 シングルマザーのユイは定職につけずにいる。夜勤でボロボロになっている彼女に新しい男ができたらしいのだが、どうもマトモな奴じゃなさそうだ。

池袋クリンナップス
 毎週月曜日に池袋の街でごみを拾う若者たちがいる、その名は「池袋クリンナップス」。

定年ブルドッグ
 ハルナは分かれた男から恐喝されているという。できれば警察沙汰にはしないで解決したいのだと彼女は言った。

非正規レジスタンス
 派遣業で働くサトシは自分のアパートもなく、日雇いの稼ぎで生きている。彼の夢は「夜足を伸ばして寝ること」、ネットカフェのリクライニングチェアでは、足を延ばして寝ることはできないのだ。

 日雇い派遣で働く若者たちのことを知るにつけ、彼らは色んなことを知らずに育ってきてしまったんだなぁと思います。特技がないから、固定した住所がないから、保証人がいないからという理由だけで定職に付けないと思い込んでしまっている人が余りにも多過ぎます。

 その気になって探せば、住込みで働ける職場があります。公的な機関で職業訓練をしたり、保証人になってくれたりする仕組みがあります。バイトであっても、日雇派遣よりずっとマシな仕事はたくさんあります。

 知らないからそこに付け込まれる、仕事欲しさに無理を聞いてしまう、そういうことの連鎖がどんどん彼らを追い詰めてしまうんです。健康保険にも入っておらず、貯金はなく、頼れる家族や友人もいない若者たちを作り上げてしまった日本のシステムって、一体どうなっているんでしょうか?

 少し前までは、一旦正社員を辞めてしまっても、若者だったらすぐに次の仕事が見つかりました。いくら給料が安いといっても、アパート代くらいは払えるだけの収入を得ることは、さほど難しいことではありませんでした。

 どうもこの10年くらいで世の中はどんどん変になって来ているような気がします。明らかに格差社会は広がっています。誰がそういうシナリオを書いているのかは知りませんが、そういうものなんだとみんなが信じてしまったらお仕舞いだと思うのです。

 自分はダメな人間なんだ、こんな仕事しかできないんだと思ってしまったら、永久にこのアリ地獄からは抜け出せません。

 サトシくんがノートに書いていた「あきらめない。あきらめたら、そこで終わりだ。」という言葉を、世の中の人全員に伝えたいと思います。

 世の中に悪い奴は必ずいます。そんな奴らに騙されない自分であるために、いつも考え続けなければいけないのです。いつも疑問を持たなければいけないのです。考えるのを辞めたら、わたしがわたしで無くなってしまうかもしれないのですから。

950冊目(今年133冊目)

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コメント

確かにマコトに出会えた人は幸運かもしれませんね。
親身になって話を聞いてくれる。
いっしょに悩んでくれる。
そして何よりも、決してベストじゃないけど解決方法が見つかることが一番。
ちょっと大人になった「マコト」だったと思いました。

じゅずじさん☆こんばんは
今時の青少年が可哀そうだなぁと思うのは、本気で叱ったり教えたりしてくれる大人がいないことです。
本当に必要なことを教わらないまま大人になってしまった人たちにとって、マコトくんのような存在は大事だと思うのです。
でも、あんまり分別臭くなったら嫌だなぁとも思いますけどね。

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