『鏡の国のアリス』 広瀬正
ウン十年前に読んだことのあるこの物語、最初のところはバッチリ覚えてましたよ。銭湯で気持ちよくお湯に浸かっていた浩一さんが、ふと気がつくと周りの様子がおかしい・・・
いきなり裏返しの世界に行ってしまったら、それはもう何が何だか分からないでしょうね。裏返しになった銀座の街を歩いたら、きっと眩暈しちゃうだろうなぁ。
今回も広瀬さんが登場しましたね。元の世界ではジャズバンドのバンマスで、こちらの世界では作家というのには笑っちゃいました。広瀬さんの人生はパラレルワールドの連続のようなものだったのかなぁ?
この本には「鏡の国のアリス」の他に「フォボスとディモス」「おねえさんはあそこに」「遊覧バスは何を見た」の3作品がおさめられています。
「遊覧バスは何を見た」は、ある家を定点観測した物語なのだけれど、なんだかタイムトラベルのような気持になってしまいました。そして人間の優しさと、戦争の非情さとが心に残りました。
947冊目(今年130冊目)
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» 鏡の国のアリス 広瀬正 [苗坊の読書日記]
鏡の国のアリス
ある美容整形医のところへ訪れた青年、木崎浩一。
彼は性転換手術をしたいのだという。
その理由は、少しおかしな出来事が始まりだった。
内容はなかなか面白かった。
手術をしたいっていう理由はそんなに大きなもんじゃないんだよね。
その内容がび....... [続きを読む]
「対称性」というのは、宇宙論の本を読むと必ず出てきて、いったい何の話だ?と思うのですが、わかりやすくしようと一生懸命解説してくれていました。
そこの部分がつらい、という読み手もいるだろうな、と思いながら読んでました。
しかしまあ、ややこしい話でしたね。
投稿: ディック | 2008年11月14日 (金) 23:13
ディックさん☆こんばんは
わたしはこの本で「対称性」を知ったのですが、それ以降建物などの対称性が気になるようになりました。
「おねえさんはあそこに」の事はすっかり忘れていたのですが、こういうSFもたくさん書いて欲しかったなぁって思える作品でした。
投稿: Roko | 2008年11月15日 (土) 20:27
後ろに収録された三短編もなかなか楽しめましたね。
『おねえさんはあそこに』も、「うーん、これはどういう話なんだ?」と読んでいくのは、おもしろかったです。
本年度のノーベル物理学賞を受賞した小林・増川理論は、CP対称性の破れを研究したもので、本書はまさしくこの時期にぴったりじゃないか、と思いました。
yahoo! で「対称性の破れ」と検索語を入れて、Wikipedia に飛ぶと、本書を思い出しますよ。
投稿: ディック | 2008年11月16日 (日) 16:34
ディックさん☆なるほど!
理論自体はよく分かりませんが(笑)そういうところにつながっていくのですね。
「波動干渉と波動共鳴」のことを思い出してしまいました。
投稿: Roko | 2008年11月17日 (月) 00:40
こんばんわ。
懐かしいですね!
私も結構昔に読みました^^
正直あまり覚えていないのですが^^;
結局戻れなかったんですよね。
それが子どもながら納得できなかった記憶があります^^;
投稿: 苗坊 | 2008年11月23日 (日) 20:15
苗坊さん☆こんばんは
昔読んだ内容はほとんど忘れてたんですが、お風呂屋さんとサックスのことだけは覚えてました。どっちも好きだからなのかなぁ?
覚えていない分、新鮮な気持ちで読めましたよ。(^^ゞ
パラレルワールドという概念は、この作品で初めて知ったような気がします。
投稿: Roko | 2008年11月23日 (日) 21:37
広瀬さんの作品の魅力は世界観もそうですが、
その世界との折り合いの付け方が実にリアルなんですよね。
短編も面白かったです。「遊覧バスは何を見た」は、「エロス」のように、もしもあのときこうしていれば違った展開があったのでは…と思うと彼らの異なる人生を想像してみたくなりました。
投稿: 日月 | 2009年4月29日 (水) 21:38
日月さん☆こんばんは
広瀬さんの描く世界は、頭の中でもの凄くイメージが拡がるんですよね。
「もし、あの時?」という気持がよく登場する広瀬さんですが、「もし今、広瀬さんが生きていたら?」と思ってしまうわたしです。
投稿: Roko(日月さんへ) | 2009年4月29日 (水) 23:12