『北緯14度』 絲山秋子
直感でセネガルを選んでしまった。
40年間生きて来て直感を恨んだことはまだない。(本文より)
セネガルのダカールに2か月滞在すると決めた絲山さんは、そこでいろんな体験をします。
1人で外へ出かけては危ないとガーディアン(ガードマン)を雇ったけど、どうしてこんなに平和な町でそんなことを言われなければいけないのかと怒ってみたり。現地の人たちと話をしようともしない大使館の人たちに怒ってみたり。
拙い語学力しかない自分に腹立つかと思えば、目を見ただけで何を考えているのか分かってしまう友達ができたり。セネガル飯の余りのおいしさに魅了され、日本に帰ってきてもなかなか日本食が食べられなかったり。
最初は言葉が通じなくてというか、言葉が出てこなくてもどかしい思いをするのだけれど、生活に慣れるにつれて段々と言葉が口から勝手に出てくるようになるところが、とっても分かりますねぇ。そういう体験はわたしにもありました。
知りたいことが沢山あるから、話したいことが沢山あるから、人間が好きだから、絲山さんはドンドン町へ出ていきます。そこの食べ物を楽しみ、そこの服を身に付け、そこの言葉を話すこと、それこそがその土地を楽しむ秘訣なんですね。
日本の生活を引きずったまま外国へ行くなんて意味ないさと語り続ける絲山さんは、やっぱり男前ですね!セネガルは素晴らしいってことが伝わってきました。
965冊目(今年148冊目))☆☆☆☆
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北緯14度
絲山 秋子
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30年の時を越え、やっと神様に会える!西アフリカ・セネガルへの魂の旅。友だちと出会うこと、自分の居場所を見つけること、言葉の本当の意味をさがすこと、大切なことを考え続けた長篇紀行。
講談社創業100周年記念「書き下ろし100冊」のうちの1冊なんですね。
絲山さんのセネガル滞在紀。セネガルの人たちがすごく魅力的です。友達だったらふらっと家に立ち寄ってご飯を食べていく。電気も水も急に止まる。でもそんな事も当たり前になって行く。
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絲山さんがセネガルに2ヶ月滞在した、その記録です。
講談社は太っ腹です。「書き下ろしの紀行文のために
セネガルに二ヶ月も行く」という企画を、ポン、と許すあたり
「儲かってる?」と、ちょっと下種なことを考えてしまいますが(笑)
また、なぜセネガルなのか、という絲山さんの動機も
けっこう適当で、「9歳の時にみた、ドゥドゥ・ンジャエ・ローズの
ファンだ」という事以外には、さしたる理由もなかったらしい。
もっとも、若い頃に留学経験もあり、フランス語がけっこうできると
いう事も、あっ...... [続きを読む]
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絲山さんのセネガル滞在記です。
「なぜセネガルなのか 会うたびに人から聞かれた」とありますが、たぶん私も聞きます。単純になじみのない地名だから、何でセネガル?と不思議でした。
絲山さんは30年前、9歳の時に初めてテレビでセネガル....... [続きを読む]
絲山さん、本当に男前でしたね。
心の浮き沈みや、彼とのメールなど
赤裸々に綴っていて興味深かったです。
投稿: なな | 2008年12月28日 (日) 20:42
ななさん☆こんばんは
日本では気にならないのに、外国へ行ったとたんに「何だこいつ」と怒ってしまうあたり、とっても良く分かる感覚でした。(^^ゞ
絲山さんの率直な性格は、日本の規格外なのかもしれませんね。
投稿: Roko | 2008年12月28日 (日) 21:08
こんばんは。
どんどんセネガルになじんでいく様子が、
楽しく、頼もしく感じられました。
セネガルが好きな気持ちが、
行間にあふれていましたね。
投稿: 藍色 | 2008年12月29日 (月) 02:43
藍色さん☆こんばんは
新しい土地になじむって、こういうことなんだなぁってヒシヒシと伝わってきましたね。
セネガルの人たちの優しさが眩しいなぁって思えました。
投稿: Roko | 2008年12月29日 (月) 19:46
こんばんは♪とっても「素」な絲山さんが、どんどんいろんな壁を越えていく滞在記、とても面白かったです。傍観者じゃなくて、人間と関わりたい人なんですよね。ほんとに、「男前」な人です♪
私も、一度も行ったことのない、セネガルという国が好きになりました。
投稿: ERI | 2009年1月28日 (水) 01:25
ERIさん☆おはようございます。
同じ土地へ出かけて行っても、絲山さんのようにその土地の事をもっと知りたいと思うか、ただ行っただけかは大きな違いですよね。
どうせなら、色んな事を知りたいんだという気持ちが伝わってきました。(#^.^#)
投稿: Roko(ERIさんへ) | 2009年1月28日 (水) 08:02
セネガルどんどんなじんでいく絲山さんの様子を読みながら、こんなふうに旅ができたら素敵だろうなぁと思いました。絲山さん本当に男前です。
そして恋人とのメールににじみ出る素のドキッとするほど女らしい絲山さん。
セネガルの魅力とともに絲山さんの魅力がストレートに伝わってくる作品でした。
投稿: june | 2009年3月28日 (土) 21:48
juneさん☆こんばんは
こういう旅には憧れちゃいます。
男前と女らしさって共存できるんですね!
絲山さんはやっぱりカッコエエです。
投稿: Roko(juneさんへ) | 2009年3月28日 (土) 22:27