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『われらがアウルズ』 ロバート・B・パーカー

われらがアウルズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)
ロバート・B・パーカー
Robert B. Parker
早川書房

 ぼくたちはバスケットボールのチームを作った。カッコいいチーム名をつけたかったのだが、ユニフォームにしたTシャツのせいで、結局「アウルズ」になった。

 それは第二次世界大戦が終わってまだ間もない頃のこと、5人の14歳の少年がバスケットボール・チームを作ったんです。でも、初めての練習試合で、相手のコーチから君らにはコーチが必要だよと言われるくらいコテンパンに負けてしまいました。

 コーチがいないからと言って諦めるわけにはいきません。ボビーは近くのハイスクールの練習を見に行き、基本的な動きのトレーニング方法を盗んできました。そして交代要員がいないので、走り込みをしっかりしてスタミナをつけ、トーナメントへ出場することになったんです。

 パーカーが初めて書いた青少年向けの小説ですが、決してスポーツだけでストーリーが進むわけじゃありません。彼らの通う中学校の教師につきまとう謎の男を追うストーリーも絡んできます。

 これまでの作品でもそうでしたけど、人間としての尊厳とか、正義とか、友情とか、パーカーの小説には一貫した思想があるところがいいですね。

 スポーツ好きなパーカーですから、バスケットボールの試合の描き方がとても上手いなぁと思いました。試合相手のコーチのセリフも良かったなぁ!

 「あれはわざとやったのかね?」
 「あ、はぁ」
 「あの肘つきはなかなかのものだったな」コーチがいった。
 ぼくはコーチの顔を見た。コーチの目は笑っていた。(本文より)

 この小説の中に様々なスポーツの話が出てきます。テレビが普及する前の時代、ラジオで野球やフットボールの中継をしていたのですが、遠くの土地での試合では、現在のような中継放送ができなかったんですね。だからテレックスで送られてきた原稿を基に行う放送があったというのにはビックリしました。

 昔日本でも、ヨーロッパで行われたオリンピックの試合を「実感放送」していたということは知っていましたが、同じようなことをアメリカでもやっていたとは初めて知りました。

 スポーツ中継、音楽、ドラマ、昔のラジオは夢にあふれていました。映画は娯楽の王様でした。テレビもコンビニもゲームセンターもなかったけど、みんなが希望を持って生きていた時代の清々しさを感じる作品でした。やっぱりパーカーはいいなぁ!

959冊目(今年142冊目))☆☆☆☆☆

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コメント

こんばんは♪この作品、良かったですよね!!
この時代の良い部分が、素直に感じられる気持ちいい作品でした。自分の宝箱を開けて、一番大事なものを見せてくれた感じです。とても70を過ぎた方とは思えない瑞々しさで、それにもびっくり。いいですよね、小説を書く方って、いつでも青春に戻れます。
できたら若い男の子に読んでほしいと思います。

ERIさん☆おはようございます
昔子供だったことを忘れてしまうのが大人なのだと、星の王子さまは言ったけど、忘れない人もいるんですね。(*^_^*)
心の中に青春を持ち続けることができるパーカーは、素晴らしいですね!

表紙絵と題名でなんとなく見逃していましたが、なんとR・B・パーカーの小説ですか…。
知らなかったなあ。
ほぼ全作品を読んでいるぼくとしては、読まないですますわけにはいきませんね。

ディックさん☆ネッ、読まなくっちゃ!!
さわやかなんだけど、やっぱりパーカーだなぁって思える作品ですよ。

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