『草祭』 恒川光太郎
「けものはら」、「屋根猩々」、「くさのゆめものがたり」、「天化の宿」、「朝の朧町」の全5編が納められています。時代や境遇は様々だけど、共通しているのは住んでいるところ「美奥」というところ。
そこには不思議な言い伝えや、謎の場所があるのです。普通の人なら一生気付かずに過ごしてしまうかもしれない場所なのだけれど、ひとたび足を踏み入れてしまうと、その魅力に取りつかれてしまうのです。
人には様々な生き方があります。そして様々な役目があります。自分が選んだのか、それとも誰かに選ばれたのか、どちらにせよ他人とは違う道を歩くものなのです。誰一人として同じ道を歩くことはできないのです。
誰かを羨んだり、非難したりするのが好きな人が世の中には沢山います。でも、そんなことをしたって何も変わらないのです。むしろ、自分の無力さが強調されてしまうだけ。つまらないことです。
自分にしかできないこと、自分しかやらないこと、自分の役目を見つけたら、他のことなど気にならなくなります。というか、他のことなど考える暇などなくなってしまうのです。
誰かの後ろを付いて行くのは楽だけど、先頭の人にしか見えない景色というものがあるのです。1人で行かなければ見えない景色というのもあります。
わたしが行く先に何が待っているのかは、いつでも謎なのです。
961冊目(今年144冊目))☆☆☆☆☆
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うわあ、この感想いいですねぇ!
いままでどれもみな読んできましたけど、いかにも恒川光太郎さんの世界を表現していて、「あ、またおもしろそう…」とうずうずしてきます。
きょう買ってこよう。
投稿: ディック | 2008年12月20日 (土) 12:49
ディックさん☆読み始めたら止まりませんよ!
これまでとは、また違う恒川さんの世界を楽しんでくださいね。
投稿: Roko | 2008年12月20日 (土) 22:02
こんばんは。
不思議な世界の魅力がいっぱいでしたね。
自分の役目を見つけられなくて、迷い・戸惑いの多い日々です。
投稿: 藍色 | 2008年12月24日 (水) 01:29
藍色さん☆おはようございます。
クサナギが怖くもあり、でも興味津々なのです。
投稿: Roko | 2008年12月24日 (水) 08:02
こんばんは。
美奥、神秘的な場所でした。
怪しく光るオロチバナやクサナギ。
恒川さんの世界、いつも素敵ですね。
投稿: なな | 2008年12月28日 (日) 20:41
ななさん☆こんばんは
美奥ってちょっと怖いけど魅力的ですね。
何処にあるか分からないけれど、きっとあるのだろうと思えてしまうんです。
投稿: Roko | 2008年12月28日 (日) 21:01
これも素晴しかったですねぇ。
ホラーというよりファンタジィとして美しさに磨きがかかってますが、綺麗なだけではなくて、生きる力を与えてくれる良書でしたね。
投稿: goldius | 2009年1月 3日 (土) 08:53
goldiusさん☆おはようございます。
そうですね、不思議な力に守られているっていう気持ちになりました。
毎年1冊ずつなのだけれど、こうやって素晴らしい作品を送り出してくれる恒川さんに感謝です。
投稿: Roko(goldiusさんへ) | 2009年1月 3日 (土) 10:48
こんばんわ。
とっても素敵な記事ですね。
「美奥」という不思議で魅力的な町と、そこで生きる人々の姿が良かったですね。
投稿: ia. | 2009年1月14日 (水) 01:39
i.a.さん☆こんばんは
この本に登場する人たちは、この不思議な町の力に支えられて生きているのかもしれません。
わたしが住んでいる場所にも、そういう力があるのでしょうか?
投稿: Roko(i.a.さんへ) | 2009年1月14日 (水) 22:00
こんにちは。
作品とは関係ありませんが、著者紹介を見て、なるほどと一人頷いてしまいました。
恒川さんって沖縄在住だったのですね。
だから本土とは違う世界が見えているのかな~、と漠然とですがそう思いました。
投稿: しんちゃん | 2009年1月26日 (月) 15:56
しんちゃんへ☆こんばんは
最近は作家さんの住むところも色々になりました。
これもネットのおかげなのかしらん?
それにしても恒川さんの描く土地は、どこも不思議さにあふれてますね。
投稿: Roko(しんちゃんへ) | 2009年1月26日 (月) 21:06