『ドリームガール』 ロバート B. パーカー
Robert B. Parker
早川書房
スペンサー・シリーズ34冊目、今回の依頼者は「儀式」「海馬を馴らす」に登場したエイプリル・カイルです。久し振りに会った彼女が立派な大人になっているとスペンサーは喜ぶのですが、彼女は大きな問題に直面しているようなのです。
これまで何度もエイプリルを助けてきたスペンサーですが、今回は彼の気持ちが空回りしてしまって悩むのですが。分からない時には、とにかく動いてみるしかないというスペンサーの鉄則は今回も実行されます。
ホークは今回もいい仕事をしているし、テディ・サップの使い方も上手いなぁ。
スペンサー・シリーズの楽しさは、もちろん謎解きもありますが、会話の面白さがたまらないんですよねぇ!ボストンの住人であるスペンサーは、もちろんレッド・ソックスのファンです。
「あんたがいいと思うものが何かあるのか?」私が言った。
「おれの女房」ベルソンが言った。
私はうなずいた。
「ほかには?」
「たぶん、ジェイソン・ヴァリテックも」
「たぶんそれで充分だ」
やっぱり男らしい選択だわぁ~!
「追跡者の本能だ」ホークが言った。
「アフリカでライオンを追っていた先祖から引き継いでいる」
「おまえの先祖は走ってライオンを追いつめたことがあるか?」
「やろうと思えばできたが、たいがいライオンが獲物を仕留めて戻ってくるのを待ってた」
ホークとの会話も相変わらず楽しいですが、この2人の友情はただものじゃないなぁってホークのセリフで感じました。
「おれに耐えられる人間はほかにいない」
犯人は誰か?ということよりも、この物語の本当に大事な部分は「信頼」なんだなと感じました。スーザンやホークとの信頼感はもちろん、トニイ・マーカスやクワーク警部との仕事と割り切った信頼感もまた大事なものです。
信頼なしには人間は生きていくことができないことを、スペンサーはエイプリルに教えたかったのでしょうね。
982冊目(今年17冊目)☆☆☆☆
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スペンサーシリーズ34作目。
これはネタバレ厳禁か?
マンネリの馴れ合いで終わるかと思ったが、
ラスト1Pの思いきった結末が素晴しい!
こんな結末はいやだ!!と叫ぶ人もいるであろうな。
ホモのタフガイ、テディ・サップが再々登場しますぞ!
スペ... [続きを読む]
ほんと、肉体の結びつきより心の信頼を賛歌した素晴しい物語でしたね!
投稿: goldius | 2009年10月 6日 (火) 10:00
goldiusさん☆こんにちは
かつては敵であっても、あるいは見方であっても、信頼がすべてを決めるのですね。
スペンサーシリーズは、もはやミステリーではなく哲学あるいは美学であるような気がしてきました。
投稿: Roko(goldiusさんへ) | 2009年10月 6日 (火) 12:32