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『停電の夜に』 ジュンバ・ラヒリ

停電の夜に

ジュンバ・ラヒリ

新潮クレスト・ブックス

トラキチさんオススメ本リスト がなかなか面白そうなので、わたしも便乗させていただきまーす。

そのリストから最初に選んだのは、四季さんオススメのこの本です。

インド、アメリカ

 この本に収められている9つの物語には、多くのインド人が登場します。それと同じくらい多くの「ずれ」が彼らの中に存在していました。

 夫婦の間に吹く隙間風のようなずれ。時々発作を起こすのだけど、医者へ行く度に違うことを言われてしまう患者。昔は1つの国だったのに、気がついたらインドとパキスタンに分かれてしまっていて、更に何年かしたら東パキスタンはバングラディシュになっていたり。

 わたしが気に入ったのは、インド人としてのアイデンティティを持ちつつ、アメリカ社会に溶け込もうとする夫と、そんなことどっちでもいいじゃないという妻を描いた「神の恵みの家」です。

 結婚するまではそんなことに気付きもしなかったのに、新しい家に引っ越した途端に、2人の考え方が全く違うことに気付いてしまった夫の悩む姿が描かれています。真面目なんだけど融通が利かない夫がオロオロするところが、何だか可笑しくって。

 最後の「三度目で最後の大陸」は、著者の父親をモデルにしたのではと思える物語でした。最初は1人でボストンへやって来た主人公が、下宿先の大家さんと少しずつ打ち解けて行ったり。インドからやってきた奥さんに、最初はどう接していいのか分からずにドギマギしたりするところが、とても好きでした。

 自分がどういう人間なのかは、何となく分かっているような気がしているけれど、それまでに出会ったことがないタイプの人と接したり、何か事件があって、初めて気づく自分ってものがあるんですよね。それがなかったら、一生気付かなかったかもしれないけれど、自分の中に潜んでいる何かがあるって不思議だなぁって思います。

 それが楽しいことであれ、イヤなことであれ、自分を写す鏡はそういうところにしかないような気がします。この本の中には、そんな気持ちにさせてくれる何かがありました。

 この本には、「停電の夜に」「ピルサダさんが食事に来たころ」「病気の通訳」「本物の門番」「セクシー」「セン夫人の家」「神の恵みの家」「ビビ・ハルダーの治療」「三度目で最後の大陸」 の9つの短編が収められています。

 著者のラヒリはロンドン生まれ。両親ともカルカッタ出身のベンガル人で、幼いときに両親と渡米し、ロードアイランド州育ちだそうです。

989冊目(今年24冊目)☆☆☆☆
外国作品を読もう!キャンペーン 4冊目

 

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コメント

Rokoさん、こんにちは~。
なんとトラキチさんのリストからでしたか♪
あのリストも長くなりましたね!
あんなふうに皆さんのオススメを読んでいくのって楽しそう~。
便乗したくなる気持ち、すごくよく分かります。^^

「神の恵みの家」も楽しかったですね!
色々想像しては可笑しくなっちゃいました。

続編… とはまたちょっと違いますが
「その名にちなんで」「見知らぬ場所」もそれぞれに素敵なので
機会があれば手に取ってみてくださいね。

四季さん☆こんばんは
自分が全く知らない世界の話って、やっぱり面白いですね。
ラヒリさんの他の作品も読んでみたくなりました。
(#^.^#)

Rokoさん、こんばんは♪
感想先を越されましたが、遅ればせながらTBさせていただきました(まだ反映されてませんが)

普段読まない翻訳本だから目新しくって、でも飛行機内で読むべき本ではないような気がしました。

じっくり読みたい本ですよね。

トラキチさん☆TBありがとうございます。
異国で暮らす人たちの気持ちって、なかなか複雑ですよね。
わたしの周りにもそういう人たちが何人もいるので、とっても気になりました。
四季さんのお薦め本は、さすがの内容でしたね。(*^^)v

民族によって違うこと、人間であれば同じこと・・・。
さまざまなことを考えさせられた一冊でした。

ふらっとさん☆こんばんは
違いを見つけようとするのか、同じところを見つけようとするのかで、世界は大きく変わるのですね。
遠くで思う故郷のこと、家族のこと、未知の人との出会い、いろんな思いが詰め込まれていました。

こんにちは。
私も読みました!「神の恵みの家」もいいですねぇ。
奥さんが他の話と違い、なんかポジティブで...
でもどの話も味わい深いです

yomikakiさん☆こんにちは
yomikakiさんは「三度目で最後の大陸」がお好きなんですね!
あの老夫人との心の触れ合いは素敵でしたね。
「人間至る所に青山あり」という気持になりました。

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