『ナターシャ』 ディヴィッド・ベズモーズギス
著者ディヴィッド・ベズモーズギスは旧ソ連ラトヴィア共和国生まれで、後にカナダへ移住した方です。この作品に登場するのは、彼と同じようにロシアからカナダへ移住したユダヤ人達です。
彼らラトビアのユダヤ人達はナチスドイツに迫害され、殺され、戦争が終わったと思ったら今度はソ連に併合され、スターリン時代にもユダヤ人だということで迫害が続いたのだそうです。
カナダへ移住した彼らは、言葉も分からず、仕事もなく、それでも必死に生きていきます。少なくともカナダでは、自由に生きる権利が保障されていたのですから。
言葉が分からない外国へ来て、同胞と語り合ったり、一緒に食事したり、教会へ行ったりすることで、彼らは寂しさや辛さを忘れようとしていたのでしょうか?この小さなコミューンの中だけが安心できる場所だったのでしょうか?
家も広くなり、家族も増え、少しずつ豊かさを手に入れていくのですが、決してカナダ人になっていくわけではないのですね。他所の土地にいるからこそ、民族のアイデンティティを強く考えることになるのは、どの民族でも、どの国でも同じなのでしょうか?
誰もが同じように生きているのに、誰もが違う人生をおくっているのは不思議ですね。同じ境遇であっても、それをどう受け止めるのかによって幸せになったり、不幸になったりするのですね。
祖国を離れて、家族で一致団結しなければと分かっていながらも、そんな生活に反発する人がいたり、どうせ結婚するなら同じ国の人がいいのだからと、ロシアからお嫁さんを呼んだり。どんな場所にいようと、人間というのはいつも同じように生きていくものなのですね。
1006冊目(今年41冊目)
外国作品を読もう!キャンペーン 12冊目
トラックバック先
新潮クレスト・ブックスを読もう!
« 『パティ・ボイド自伝 ワンダフル・トゥディ』 | トップページ | 『ペット・サウンズ』 ジム・フシーリ »
「海外(英米韓以外)」カテゴリの記事
- 『四維街一号に暮らす五人』 楊双子 26-184-3943 (2026.07.02)
- 『ヒトラーのモデルはアメリカだった』 ジェイムズ・Q・ウィットマン 26-175-3934(2026.06.23)
- 『変身』 フランツ・カフカ 26-166-3925(2026.06.15)
- 『絶望しかけた女子のための世界史』 ティチュー・ルコック 26-142-3901(2026.05.22)
- 『ぼくたちに翼があったころ』 タミ・シェム=トヴ 26-119-3878(2026.04.29)



コメント