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『ブッダ (第12巻)』 手塚治虫

ブッダ (第12巻) (潮ビジュアル文庫)

 

手塚 治虫
潮出版社

 

 

 ブッダの教えは多くの人の心を掴み、弟子も信者も増えていきました。その中にはお金持ちも、王様も、兵士も、庶民も、乞食もいました。ブッダは相手がどんな人であろうと、差別することはありませんでした。すべての人に心の平和を説こうとしたのです。

 

 そんな彼の気持ちとは裏腹に、ブッダが作った教えを力に変えようとする人もいました。みんなの心を解放するための教えを、逆に人々を制圧するするための道具にしようとするなんて、本当に愚かなこと。自分の欲のために使おうとするなんて!

 

 そういう人たちは、昔も今も沢山います。自分の欲望を達成するために宗教を悪用するような、つまらない嘘つき達が、世の中には沢山いすぎて悲しくなってしまいます。

 

 旅の人よ、あなたは財産が心配だ。富が心配だ。何もかも心配だから、死ぬのが怖いのでしょう。その心配をやめればらくになる。死ぬ日までしあわせに暮らせるだろう。

 

 人は安心するためにお金や家を持とうとします。でも、そういうものを持つとかえって心配が増えてしまいます。お金や地位や名誉は、それはそれで素晴らしいものだけれど、それを守ろうと思ったら、その瞬間から足かせになってしまいます。

 

 いつかやろうと思っていることを我慢していると、それをいつやっていいのかが分からなくなってしまいます。こんなに我慢しているんだから、他のことは許してくれてもいいじゃないかと、勝手なことを言いだしてみたり、我慢することが偉いんだと勘違いしてしまうこともあります。

 

 本当の自由とは、何の縛りもなく生きていくことです。やりたいと思ったことはやり、行きたいと思った所へは行けることです。そのための時間やお金を無駄だと思ってしまったら、何もすることができません。

 

 誰だって、この世に生まれてきたら、死ぬことは絶対に確実なのです。100歳まで生きるかもしれないし、明日死ぬかもしれないのです。死なない人はいません。

 

 死ぬのは怖いけど、それが何故怖いのかとつきつめてみると、思いを残したまま死にたくないということだと思うのです。人生を楽しみ、笑顔を忘れず、少しでもいいから人のためになることができたら、それでいいんじゃないかと思います。

 

 ブッダは悟りを開いた人だけど、ずっと悩み続けていた人でもあったんです。それは人間として当然のことだし、何より、悩みから逃げなかったことこそが彼の偉大さだと思うのです。この作品を通じて、ブッダという人をとても好きになりました。

 

1008冊目(今年43冊目)

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コメント

メソポタミアのことわざにも、
こんなのがあるそうです★
φ(.. ) カキカキ

「銀をたくさん持っている者は幸せだろう。
麦をたくさん持っている者は嬉しいだろう。
だが、何も持ってない者は眠れるだろう」

つたまるさん☆おはようございます
「貧しきものは幸いなり」とイエスも言ってますね。
何かを守ろうとした瞬間から悩みが始まるって、人生は難しいです。(-_-;)
次は、手塚さんの旧約聖書も読もうと思ってます。

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