『「R25」のつくりかた』 藤井大輔
R25というフリーペーパーのターゲットは「M1層」と呼ばれる20歳から34歳の男性です。この層に向けてどんな雑誌にしていこうかとリサーチをしていくうちに、彼らがなかなか本音を吐かないということが分かってきます。
M1層は本音が見えにくいのです。アンケートに回答する場合なども、こういう答えを期待されているだろうという答えを出してきます。あるいは自分の現状を回答するのではなく、自分の理想を回答してくることが多いというのです。
たとえば、「新聞は読んでますか?」と質問すれば、「日経を毎朝読んでます。」というような回答をする人が多いのですが、突っ込んで質問してみると実際は読んでいないんです。結局は「そんなひまはない」という答えが返ってきます。
でも、それすらも事実ではないんですね。「新聞をどう読んでいいのか分からない」、「経済用語などが分からない」というような、基礎知識の不足が原因であるというのです。
だったら、その部分を800字程度の短い文章で説明できれば読んでくれるのではないだろうか?先生から教わるような形体ではなく、兄貴分の話を聞くような親しみを感じる無いようにしよう。というような気付きこそが「R25」の特徴となったのです。
女性向けの「L25」よりも、わたしには「R25」の方が面白いんですよ。その謎がこの本を読んで少し解けたような気がします。
それにしても、M1層の人達の分かりにくさって何なんでしょうね?自分を表現することができないからなのか、自分を分かっていないからなのか、忙しがっていることにステータスを感じているだけじゃ、まるで魅力がないですよね。
真剣にやって失敗したら恥ずかしいから、本気じゃないんだよというポーズを取ってしまったり、マニュアル通りの就活や婚活ばかりしてたらマズイよ~と言いたくなってしまいました。
1019冊目(今年54冊目)
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