『蝶の舌』 マヌエル・リバス
明るい太陽が燦々とふりそそぎ、陽気な人たちが大きな声で語りあっていたり、歌っていたりというのが、わたしのスペインのイメージです。のどかで、おおらかなスペインだったのに、内戦は彼らの生活を一変させてしまったのです。
内戦に勝利したフランコ側は、人民戦線派の残党に対して激しい弾圧を加えました。軍事法廷は人民戦線派の約5万人に死刑判決を出し、その半数を実際に処刑しました。特に自治権を求めて人民戦線側に就いたバスクとカタルーニャに対しては、バスク語、カタルーニャ語の公的な場での使用を禁じるなど、徹底した弾圧をおこなったのです。
蝶の舌の優しい先生は、人民戦線派だったのですね。先生のことをどんなに尊敬していても、どんなに慕っていても、みんなの前では石を投げるしかなかったのです。そうしなければ自分の身を守ることすらできない。悲しい歴史です。
スペインでも、日本でも、暗い過去もあるし、誇れる歴史もあるのです。その両方があって当然だし、それを知ることによってより理解が深まるのですよね。
映画版の「蝶の舌」はこの本の中のいくつかを取り込んだ作品なのだそうです。これもまた観なければ!この夏は、映画も沢山観たくなってきました。
1035冊目(今年70冊目)
外国作品を読もう!キャンペーン 18冊目
« 『地図男』 真藤順丈 | トップページ | ゴーヤ日記5 »
「海外 小説」カテゴリの記事
- 『クララとお日さま』カズオ・イシグロ(2021.04.16)
- 『ヒイラギ荘の小さな恋』 チャールズ・ディケンズ(2021.01.26)
- 『白い病』 カレル・チャペック(2020.12.27)
- 『天気が良ければ訪ねて行きます』 イ・ドウ(2020.12.24)
- 『色どろぼうをさがして』 エヴァ・ジョゼフコヴィッチ(2020.10.13)
コメント