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『コークの味は国ごとに違うべきか』 パンカジ・ゲマワット

コークの味は国ごとに違うべきか
パンカジ・ゲマワット
文藝春秋

 マクドナルドのハンバーガーやコカコーラのって、どこでも一緒!って思い込んでませんか?

 バドワイザーでも、マルボロでも、ヴィトンでも、世界中で売ってますけど、決して全部同じではありません。製品を作る技術的には、世界中どこでも同じものを作ることは可能です。でも違うものを作っているのは何故なんでしょう?

 グローバリゼーションが広がり、世界中で同じニュースを知ることができ、世界中で同じものを手に入れられる可能性は増えました。でも、可能性が増えただけであって、決して同じにはなりません。そこには様々な理由があるんです。

 たとえば宗教上の理由、インドでビーフ100%のハンバーガーってマズイですよね。ヒンズーの神である牛を食べるわけにはいきません。だから彼の地には羊のハンバーガーがあるのだとか。イスラム教だったら豚を食べられないし、厳格なキリスト教の宗派だと4つ足以外の動物は食べられません。

 気候とか、体格というのも大事なファクターですよね。砂漠が広がるような場所では肌を出さないような服装が快適だし、アメリカのMサイズは、日本ではLサイズになっちゃいます。

 日本はお揃いが好きな国だと思います。制服や、規則や、流行など、とにかく日本中同じになるのが良いと思っている気がします。みんな標準語をしゃべり、みんな同じドラマを見て、同じスターを素敵だと思っているのって、何だか気持ち悪くありませんか?

 それぞれの土地に歴史があり、それぞれの個人に個性があるなら、そこまで同じになるわけないし、同じにしてはいけないと思うのです。

 誰かが言っていたけれど、どの国へ行ってもヒルトンホテルは全く同じサービス、雰囲気を提供しているのだそうです。おかげでホテルの中にいる限り「今どこの国にいるのか分からない」状況になってしまうのだとか。せっかく違う土地へ出かけて行ったのに、それじゃつまらなすぎませんか?

 だからわたしは、「コークの味は国ごとに違うべきか?」と聞かれたら、「モチロン!」と答えます。

1044冊目(今年79冊目)

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