『MW 1・2』 手塚治虫
このあいだ見に行った手塚治虫展でも、この作品が映画化されるということが1コーナーになっていました。
実はこの作品、まだ未読でした (^_^;)
読んでみた感想は、やはり手塚さんがずっと持ち続けていた反戦や生命の尊さを訴えるものだったと思います。
表面上は真面目な銀行員の結城、神父の賀来、この2人の運命は過酷です。
彼らはある事件の被害者であり、そのために肉体的にも精神的にも大きな打撃を受けています。その恨みを果たそうとする結城、それを阻止しようとする賀来。結城の極端な手段には賛成できないけど、そこに至る気持は十分に理解できます。
この物語はフィクションだけど、こういう事実はどこかにあっても不思議ではないと思います。戦争という名のもとに何でも許された時代がありました。今でもその思想を持ち続けている人だって沢山います。
どんな生き方をしようと差別してはいけないという主張も素晴らしかったです。神父のスキャンダル写真を持ち込まれた新聞社の社会部の部長がレイチェル・ウォレスのような人だったのにはビックリ!手塚さんはあらゆる意味での自由を理解されていたんですね。
映画化されて、この作品に興味を持つ方がきっと増えるのでしょうね。映画の予告編を見た感じでは、原作とは違う点がいくつかありそうだから、原作もぜひ読んで欲しいなぁと思います。
結城を演じる玉木宏はイメージ通りですね。賀来を演じる山田孝之は原作より男っぽさが足りない感じなのが残念。もっと体育会系のガタイのいい人だと嬉しかったんだけど。
手塚さんの未読作品はまだまだあるので、少しずつでも読んでいきたいと思います。全部で訳700タイトルあるうち、いったいどの位読んだんだろう?これはわたしにとってのライフワークなのかもしれません。
1051、1052冊目(今年86、87冊目)
☆☆☆☆☆☆(絶対にオススメ!)
トラックバック先
心に残る本
« 『ミヒャエル・ゾーヴァの仕事』 | トップページ | 『はじめての手製本 製本屋さんが教える本のつくりかた』 美篶堂 »
「コミックス」カテゴリの記事
- 『沢村さん家のそろそろごはんですヨ』 益田ミリ 16(2023.01.17)
- 『沢村さん家のたのしいおしゃべり』 益田ミリ 7(2023.01.08)
- 『BLACK JACK 11』 手塚治虫 300(2022.11.03)
- 『きのう何食べた? 20』 よしながふみ 295(2022.10.29)
- 『BLACK JACK 10』 手塚治虫 263(2022.09.27)
「日本の作家 た行」カテゴリの記事
- 『貸本屋おせん』 高瀬乃一 27(2023.01.28)
- 『君は君の人生の主役になれ』 鳥羽和久 24(2023.01.25)
- 『ツナグ』 辻村深月 23(2023.01.24)
- 『ツナグ 想い人の心得』 辻村深月 26(2023.01.27)
- 『おいしいごはんが食べられますように』 高瀬隼子 3 (2023.01.04)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『MW 1・2』 手塚治虫:
» 【コミック】MW(手塚治虫) [心に残る本]
手塚治虫の「MW」が映画化され、7月に公開されます。
娘は山田孝之が出るので、夢中になっており、映画の公開を指折り数えて待っています... [続きを読む]
« 『ミヒャエル・ゾーヴァの仕事』 | トップページ | 『はじめての手製本 製本屋さんが教える本のつくりかた』 美篶堂 »
おはようございます。
本屋さんでちらっとだけ立ち読みしたんだけれど、なかなか面白そうなお話でしたね。手塚治虫さんって読んでも読んでもまだ別の漫画があるんですよねぇ。
まさにライフワーク的なおつきあいをしないと全部は読めないかも知れません。映画のほうはちょっと忙し過ぎていけなさそうだけれどコミックスのほうはちゃんと読んでみたいです。
投稿: 樽井 | 2009年8月 7日 (金) 09:03
樽井さん☆おはようございます
最近変な事件が多いでしょ、MWを読みながら同じ匂いを感じていたんです。
手塚作品をすべて読破できるようにがんばりまーす!(*^^)v
投稿: Roko(樽井さんへ) | 2009年8月 7日 (金) 10:14