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『アメリカ映画の暗号を読み解く - 人種のカオス篇』 越智道雄

 第1章 多民族社会、アメリカならではの映画
 第2章 わスプ主流派への対抗圏、ユダヤとイタリアン
 第3章 最大の対抗圏としてのブラック・アメリカ
 第4章 シンパティコだが、残虐なラティーノ・アメリカ
 第5章 白人の罪の意識と良心の焦点、ネイティヴ・アメリカン
 第6章 大西洋勢力に挑む太平洋勢力アジア系

 わたしは子供のころからずっとアメリカ映画を見続けています。最初に見たのはバンビでした。ディズニーの映画は徹底した健全路線なので、親も安心して見せてくれるから色々観ましたねぇ。

 TVでは西部劇をよくやってました。でも、軍隊が何故アパッチ族やスー族と戦っているのかは分かりませんでした。

 そして1970年代になって、白人主導ではない映画が出てきました。ブラック・シネマと呼ばれるアフリカ系の人たちが活躍するもの、ネイティブ・インディアン側の視線で作られたものなどがどんどん増えてきたのです。

 多民族国家であるアメリカでは、常に人種間の差が問題になります。たとえ白人であっても、後から入ってきたイタリア系やアイルランド系は差別をうけています。

 ゴッドファーザーというイタリア系の話を映画化できたのも70年代だったからだということに、今更ながら気付きました。60年代には、そんな企画はあり得なかったんですね。

 「イージーライダー」や「明日に向かって撃て」「卒業」のような、「ニューシネマ」と呼ばれる作品も出てきました。それまでのように、物語が常にハッピーエンドで終わるわけでもなく、白人の主人公がカッコ悪く描かれたり、現実をそのまま描こうとする作品が多くなりました。

 それはベトナム戦争の影響もあったろうし、公民権運動が成功したということもあるでしょう。そして機材の進歩によって、低予算でも映画が作れるようになったという技術的な側面もあったのかもしれません。

 それまでのハリウッドが描いてきた夢のような世界ではなく、現実を表現しようという製作者が増えたのは確かです。

 人種をめぐる物語が増えるのも当然なのですが、それでもいくつものタブーがあったのです。たとえば、白人男性&黒人女性 という組み合わせなら構わないが、黒人男性&白人女性というカップルを描いてはいけないなんていう暗黙の了解が長い間あったとのです。

 O・J・シンプソン事件は、被告が有名人だというだけでなく、この組み合わせだったからこそ大きな話題になったのだという意見もあるくらいです。

 映画を通して人種や民族のことを考えると、色んなことが見えてきます。かつてのアメリカで、そして今のアメリカで何が起きているのかを知る、一つの窓が映画なのだと思うのです。

1062冊目(今年97冊目)☆☆☆☆☆

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コメント

面白そうな本ですね。Rokoさんの説明で読んでみたくなりました。映画はアメリカを象徴する娯楽なんですね。オーソンウェルズの「第三の男」は50年代作品ですが、いままで映画の中で勝ち組だった白人の正義感あふれる青年が悪党に負けて女にふられるというのが印象的でした。

日月さん☆わたしも第三の男が大好きです(*^^)v
この辺りから、ハッピーエンドじゃないエンディングの映画が始まったのかもしれませんね。
昔は映画を通してアメリカに憧れたけれど、今はそういう感じじゃなくなっちゃいましたね。(^^ゞ

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