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『ラーメン屋の行列を横目にまぼろしの味を求めて歩く』 勝見洋一

 1980年代に「B級グルメ」の立ち上げに参加し一大ブームを起こした著者は、文化大革命時代の中国で本場の味を体験もし、その後フランスではミシュランの覆面調査員もつとめたという「世界を食べつくした男」

 わたしが初めて勝見さんの名を知ったのは、桐島洋子さんと結婚なさった時でした。あの桐島さんが選ぶんだから、さぞかしスゴイ人なんだろうなぁと思っていたら、やっぱりとんでもない人だったんですね!

 でも、いわゆる美食家とはちと違っていて、下世話なものも好きだし、自分で料理もするし、とにかく食べることにもの凄い情熱を持っている人なんだということが伝わってきました。

 いやぁ、「新興宗教とラーメン」という文章にはシビレました。最近、ラーメン屋さんに行列している風景をよく見るようになったのですが、そこで食べるラーメンが本当に美味しいのか?という疑問を提示しているんです。

 「このスープを作るまでに×年かかりました。」というようなふれこみの店に入って、そのスープを飲んでみたら「なんだこりゃ!」な事が多いというんです。「煮干しベースなのは分かるけど、ここまで魚臭くっちゃマズイでしょ」とか「脂だらけでスープになかなか辿りつかない」とか。

 そういう店に行列している人達って、本当に美味しいと感じてるのかなぁ?評判の店だから美味しいと思い込んでいるだけなんじゃない?本当は美味しくなくても、自分の舌が信用できないからマズイって言えないだけなんじゃない?

 そうなんですよ!グルメ記事を見たら、そこに駆けつけてみなきゃ気が済まないくせに、味なんかちっとも分かってない人って多くありませんか?人がなんと言おうと、最後は自分の感性、自分の味覚だってことを忘れちゃったら本末転倒ですよね。

 この本には色んな食べ物が登場します。せっかく美味しいものを、余計なことをして不味くしてしまう店に悪口を浴びせかけるかと思えば、屋台のおやじさんと仲良く話をしていたり。揚げたてのレバカツに懐かしさを感じたり。勝見さんの美味しいものを食べたいという気持ちは、もの凄く強いですね。

 その我儘さ、頑固さは、ちょっと羨ましい気がします。

1065冊目(今年100冊目)

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