『シンプル族の反乱』 三浦展
物を買わない人、テレビをあまり見ない人、本物志向の人、新しい物より古い物を好む人、物にストーリー性を求める人、新しい技術より古い文化にひかれる人、クルマを好まない人、そして慎重に物を選ぶ人は、若い世代ほど多い。特に女性が多い。(本文より)
日本経済が拡大化していた時期、とにかく消費することが良いことだ定義されていた。お金をたくさん稼いで、大きな家や大きな車、高級品を買えるようになることこそが素晴らしいという価値観が正当化されていました。
だからこそ長期ローンで家を買うことも、普通の会社員が高級車や高級ブランド品を買うことも普通だと思われていました。流行りの服を着て、評判のグルメを追う、というライフスタイルは、商品を作る側にとってはとても便利なものでした。
ここ数年、不景気だから消費が伸びないという話題が増えていますけど、どうも景気とか経済とかだけの問題ではないようです。
今の日本は豊かなんです。豊かな世界で育った人たちは、古い世代の人たちとは物に対する考え方がまったく違います。物がない時代に育った人達は、何かを死ぬほど欲しいという欲求を持っていましたけど、豊かな世代ではそういう欲が希薄なんです。
わたし自身、決して若い人ではないけれど、自分の親の世代のような物に対する欲求はないんです。コンサートのチケットなんかは、かなり高額でも買ってしまいますが、服や食べるものにはさほどお金をかけようとは思いません。
TV番組は見たいけど、放送時間に家に帰れないから録画で見ている人って多いですよね。確かにバリバリ働いている人が、ゴールデンタイムの番組を見られるような時間には帰れませんよね。
録画だからCMは飛ばして見るでしょ、そうなると広告収入で成立している民放TV局は困っちゃうわけですよ。新聞だって同じで、新聞を読む人が減れば広告も減ります。最近、新聞はドンドン薄くなってますよね。
マスメディアって、物を売る側からはとっても便利な道具だったんだけど、それが使えなくなってきたから困っている企業が多いのです。
じゃぁ、次の手はインターネットなのか?ケータイなのか?はたまたクチコミなのか?
いずれにせよ、面白いアイデアがあればそれに飛びつきたいと思っている人が多いのは確かなはずです。
1072冊目(今年107冊目)
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