『プロフェッショナル』 ロバート B.パーカー
スペンサーの面白いところは、事件の依頼人に対して必ずしも忠実ではないという所だと思います。犯人や加害者の事を調べるうちに、非があるのはむしろ依頼人の方だという結論を出すことが結構あって、今回もそんなスペンサーの気持ちが様々な所に出てきます。
「僕には魅力があるから、女性が放っておいてくれないんだよ」と強請屋の男は言います。「バーへ飲みに行っても、ホテルに泊っても、僕は滅多にお金を払わない」そんなことを気にしないようなお金持ちの女性ばかりをターゲットにしているんです。
スペンサーはそんな彼に対しては、余り悪い奴だという意識を持ってないんです。彼に引っかかる女性の方にだって非があるんだから、強請さえしなければ良いんだけどなぁ!位の気持ちでいるんですよね。
世の中にはイイ奴も悪い奴もいるし、正義と悪というのもあります。でもその差というのがハッキリと決まっているわけではありません。社会的には立派な人だけど、正義を分かっていない人がいます。逆に、悪人だけど情に熱いという人もいます。
スペンサーの周りにいる人だちは、ほとんどが後者の方、ギャングや用心棒や殺し屋だけど、筋を通さない奴は大っ嫌い、無駄な見栄を張るやつも大っ嫌い、どんな時でも恩義を忘れず、見方であろうと敵であろうと信頼できるものしか信頼しないのです。
信頼こそが人として最も大事なことであるという信念がある限り、スペンサーへの仕事の依頼は無くならないのでしょうね。
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