『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』 内沼晋太郎
最近の傾向を考えてみると、どうも両極端なものが多いような気がします。
読書に関してもその傾向に当てはまるようで、本を沢山読む人と少ししか読まない人がいるのではなくて、本を全く読まない人と沢山読む人の比率が高くて、たまにしか読まない人というのが一番少ないという気がします。
本を読まない人のうち、他の趣味に時間を費やしているからという人は別にして、「テレビを見る暇はあるけど本は読まない」というタイプの場合は、どんな本が面白いとか、読書をするとどう楽しいかという知識や経験が不足しているのが原因であるように思います。
この本の著者である内沼さんは、本をいかにして楽しく手に取ってもらえるか?とか、本屋さんへ行かなくても本と出会える場所を作りたい。という考えで、様々なイベントや企画を作ってらっしゃる方です。
本屋さんや図書館以外で本と出会うって、なかなか面白いアイデアですよね。カフェでコーヒーと文庫本をメニューにしてみたり、ブティックで洋服や雑貨と一緒に本を展示したり、「そういう方法もあったんだ!」と思わず拍手したくなってしまいました。
書店でもWeb上でも、「こんな本はどうですか?」という紹介をする場は沢山ありますが、それに気づかずにいる人が沢山いるんですね。だから、映画やドラマの原作や、有名な文芸賞を取ったものしか売れないという現象が起きるのかもしれません。
内沼さんが企画した中で、これは面白いなぁと思ったのは、本を包んでしまって、どんな本か分からない状態で選んでもらうというものです。短い説明文は付いていても、誰が書いたのか、どんな内容なのか分からない本を手に取ってみるスリリングさって、案外いいのかもしれませんね。
本をどうやって読者へと渡していくのかを考える仕事、そして仕事の糧となっていく本、この本のタイトルはなかなか意味深ですね。本の作りもとっても面白いので、是非書店で手に取ってみてください。
本って自由に作っていいんだということが、この一冊に込められているということを感じていただけると思います。
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