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『フリーター、家を買う。』 有川浩

フリーター、家を買う。

 就職はしたけれど、こんな会社に何で入っちゃったんだろう?という疑問を持ち、3か月で会社を辞めてしまった主人公。もっと良い仕事があるはずと就職活動をしてみても、何故前の会社を辞めたのですか?と聞かれるばかりで、ちっともいい仕事が見つかりません。

 結局はコンビニのアルバイトしかできず、それすらも店長に叱られたことを根に持って辞めてしまったんです。バイトもせずにぶらぶらしていたある日、嫁に行った姉にこう言われたんです。「母さんがおかしいって気付いてなかったの?」

 母親が「うつ」だということに気づいた時から、彼の生活はガラッと変わったんです。母親の心配をすること。無理解な父親を説得すること。お金を稼ぐこと。それが彼の日常となったのです。

 それまでは、言い訳ばかりしていた主人公が、自分がやるしかない!と気付いてからの変化はスゴイですね。目標が見つかると、人間はちゃんと進めるようになるんだなぁと思えました。

 家族って大事なものだし、助け合わなくちゃいけないものなんだけど、どうしてこんなにお互いのことを分かってないのかなぁってことも感じました。その原因の一つが会話の不足なのだとも思いました。

 「親しき仲にも礼儀あり」である部分と、「腹を割って話す」部分の両方がないと、ずっと一緒に暮らしている家族であっても、お互いのことを理解できないままになってしまいます。

 後になって「あの時に言っておけば良かった」なんて思わないためにも、率直に話し合うこと、時にはケンカすることも大事なんだなぁってことを感じました。

 この本、後半は有川さんらしい調子のよさがありますが、前半はかなりヘビーでした。お姉さんが語る現実は、けっこうどこの家庭にもありそうな問題で、これを1人で抱え込んだらたまらないなぁって思えました。

 若者にも読んでもらいたいけど、そういう若者の親の世代の人たちにも読んでもらいたい本だなぁと思います。

1112冊目(今年147冊目)☆☆☆☆

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日本の作家 あ行」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
TBさせていただきました。
私もつい先日読みました~。
前半はかなりヘビーでしたね。
読んでいて、とても悲しくなりました。
家族なのに、どうしてこうもばらばらなんだろうと。一緒に住んでいるのにと。
コミュニケーションって大事ですよね。
友人はもちろん、家族だって。
相手に悪いと思って言わない事で、相手にも伝わらなくて自分だけで抱え込んでしまっては、壊れてしまいますよ。
この家族は、「間に合った」のだと思います。
後半は誠治の頑張りに脱帽でした。
ちゃんと恋愛模様も垣間見えたのが、やっぱり有川さんだなと思います。

苗坊さん☆こんばんは
仕事も家庭も、目標があるかないかでこんなにも変わってしまうものなのですね。
最初は無関心だったお父さんですが、遅ればせながら家族の大事さに気が付いてくれたようでホッとしました。

テーマは重いけれど、読後感が明るい物語でした。
まだすべてが解決したわけではないけれど、これまでの状態に舞い戻ることはないだろうと思えてよかったです。

ふらっとさん☆こんばんは
フリーターからいかにして抜け出すかを目指している人が沢山いるのでしょうが、この本がそういう人たちにとってのヒントになればいいですよね。

itchy1976です。コメント&TBありがとうございます。

やっぱり目標が人生の道しるべになるということですかね。母親の精神疾患から人生のベクトルが変わりましたからね。

家族をはじめとする身近な人のコミュニケーションは、話してみないとわからないところもあるでしょうね。お互いが言い合えることが重要なんでしょう。

これからもよろしくお願いします。

itchy1976さん☆こんばんは
何か目標があるからこそ頑張れるってことなんでしょうね。
そして、一人で勝手な事を考えてるだけじゃなくて、コミュニケーションをいかに取るかってことが大事だなぁって思いました。
こちらこそ、よろしくお願いします。

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