『ジュールさんとの白い一日』 ダイアナ・ブロックホーベン
朝食のコーヒーはいつも夫が淹れてくれます。今朝もそのいい香りがしていました。アリスは目覚め、夫とともに朝食を摂ろうと彼のそばへ寄ってみると、彼は座ったまま亡くなっていたのです。
死は誰にも必ず訪れるものなのだけれど、その存在のことはみんななるべく考えないようにしています。そんなことは自分の身には起きないと信じようとしている人もいます。
だから、自分の目の前に「死」が現れたとき、まず考えるのは「なぜ?」なのです。「なぜ、死んだの?」「なぜ、今なの?」「なぜ、わたしを残していくの?」
アリスは夫が死んだということは認めているのですが、それを子どもたちや近所の人に伝えるのはもうちょっと後にしようと思ったのです。それよりも、夫ともう少し一緒にいたいと思ったのです。彼と過ごした日々のことを一緒に思いだしたいと思ったのです。
この本を読みながら色々と考えてみると、自分が死ぬということはそんなに怖いことじゃないという気がしてきました。本当に怖いのは身近な人、家族や友人の死なのです。大事な人がいなくなることこそが問題なのです。
そうなった時に、何を頼りに生きて行けばいいのでしょうか?
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