『カラーユニバーサルデザイン』 カラーユニバーサルデザイン機構
たとえば信号の「赤・青・黄」という色を、全ての人が同じように見ていると思っていませんか?実はそうじゃないってことに気付かずに世の中は動いてしまっています。
色の判別が正しくできない人がいるという認識をわたしは持っていたのですが、それはどうも間違った考え方であったようです。
人それぞれに見え方が違っていて、その差によって見えやすい色/見えにくい色、判別しやすい色/判別しにくい色、があるのだということを、この本で初めて知りました。
これまで「色弱」という表現で十羽ひとからげにされてきた方々ですが、その見え方は実にさまざまなのです。一般色覚者(C型)にとっての「赤と緑」や「黄色と青」が見えにくいタイプ「P・D・T型)と、完全に色を認識しないタイプ(A型)が存在します。
日本だけでも色弱者は320万人、男性の20人に1人が該当するのだそうです。「えっ、そんなに大勢いるの?」という数ですよね。これだけ大勢の方に対する配慮が欠けていたなんて、知らないというのは怖いものです。
これまでは、色で塗り分ければ分かりやすいのだという考えで標識などが作られていましたが、それだと分かりにくいと感じる人がかなりいるんですね。
たとえば、危険であるとか高熱であることを示すために、よく「赤」が使われますが、「赤と緑」が分かりにくいタイプの方には全く役に立たない色分けなんです。
同じ赤の系統の色の中でも「赤橙」なら認識しやすいとか、文字を併記するとか、ちょっとしたアイデアでみんなにとって見やすいデザインができるって、本当に素晴らしい事です!
この地下鉄の乗り換え案内は、CUDの考え方を取り入れた好例です。これまでは色別をしただけの○だったのですが、○の中にアルファベット(銀座線ならG、丸ノ内線ならM、など)を付け加えることによって、色が見えにくい人だけでなく、日本語が読めない人や高齢者などにも分かりやすい表現になっています。
バリアフリーの考え方が少しずつ広まってきました。それは段差を無くしたり、小さな力で何かを動かせるようにしたりというアイデアを駆使しているのです。そこに「色」に関するバリアフリーも是非忘れずに入れて欲しいと思います。
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この本は 書評サイト 「本が好き!」 より提供して頂きました。どうもありがとうございました。
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