『カラーひよことコーヒー豆』 小川洋子
ラジオ番組の仕事の現場で、子供のころに縁日で買ってもらったカラーひよこの話をしたら、ほとんど誰にも理解してもらえずびっくりした。(本文より)
この「カラーひよこ」の話、わたしはとっても懐かしい気持ちで読みました。子供のころ、縁日などでよく見ましたよ!赤や青や緑のひよこたち!
わたし自身は覚えていないのですが、母がこんな話をしてくれたことがあります。
「売っている人が上手いのよ、子供に向かってカラーひよこを歩かせるの。すると子供は間違いなくひよこを捕まえるでしょ、だから買わないわけにいかないのよ。」
幼いわたしはピンクのひよこを抱きしめていたそうです。
小川さんの文章を読むと、いつも優しい気持ちになります。それは柔らかな文体のせいでもあるだろうし、少し引き気味な目線のせいかもしれません。
たとえば、電車の中でメイクをしている女性のことを、普通の人だったら否定的なことばかり書いてしまうのに、小川さんの視点は違います。「彼女は誰に会いに行くのだろう?こんなに熱心に化粧しているのだから、さぞかし大事な人なんだろう」と考えられるって、ホントに素敵だなぁと思います。
他の人が気付かないようなところをじっと観察して、その素晴らしさを称えるって、いいですよね。そんな誠実な人に、わたしもなりたいです。
心がほんのり暖かくなるような、エッセイ集でした。
1144冊目(今年22冊目)☆☆☆☆☆
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ほんとうに、小川さんの視線のやさしさが感じられました。
Rokoさんが引用されたところ、まさにわたしも同じことを思いながら読みました。
投稿: ふらっと | 2010年5月 9日 (日) 06:33
ふらっとさん☆おはようございます
同じところに惹かれたとは、嬉しいですね。
「やさしさ」とは何なのか?色々と考えさせられてしまいました。
投稿: Roko(ふらっとさんへ) | 2010年5月 9日 (日) 09:34
Rokoさん、こんにちは!
うわ~っ(^○^)同じ事をRokoさんも思われていらしゃった様で、勝手にとても嬉しくなってしまいました。
>たとえば、電車の中でメイクをしている女性のことを、普通の人だったら否定的なことばかり書いてしまうのに、小川さんの視点は違います。
いや~~ホント小川さんは、お優しい!いつも心に余裕があるというか、カリカリ、ピリピリした人が多いこのごろ、こういう風に生きたいものですね♪
投稿: latifa | 2010年5月24日 (月) 10:03
latifaさん☆こんばんは
同じ事を感じてたなんて、スゴーイ!(^o^)/
心の余裕があるって、ホントに素敵な事なんだなぁって思いました。
小川さんを見習っていこうっと!(*^^)v
投稿: Roko(latifaさんへ) | 2010年5月24日 (月) 18:28