『1Q84 BOOK1、BOOK2』 村上春樹
BOOK1ではよく分からなかった青豆と天吾の関係が、徐々に明らかになってきたBOOK2です。2人の描写がかわるがわる登場するのですが、最初は遠くにいた2人の距離がどんどん近づいていく感じにドキドキしてしまいました。
それまでいた世界(1984)から見ればパラレルワールドである1Q84に迷い込んでしまった彼らを取り囲む、宗教や運命や孤独が混ざり合ったこの世界は、摩訶不思議なものに支配されているようです。
そのキーワードとなっているのが「リトル・ピープル」なのですが、この言葉からわたしが思い出したのはエジソンの言葉です。
「これまでの発明の中で、最も素晴らしいひらめきは何か?」という質問に対して、彼はこう答えたのです。
それは赤ん坊の頭脳の中に天才を見い出したことだ。生まれたての頭脳ほどリトル・ピープルにとって住みやすい場所はない。つまり、年が若いほど、自分の脳に宿っているリトル・ピープルの声に素直に耳を傾けることができるのである。大人になってからでは至難の業になるが、それでも何とか1%のひらめきと99%の汗があれば不可能ではない。
この回答を正しく理解できなかった記者が書いた記事によって、「天才とは1%のひらめきと99%の努力」という間違った伝わり方をしてしまったのです。
エジソンは自分の頭の中に、自分以外の何者かがいて、それが出したシグナルを受け取れるかどうかが問題なのだと言っていたのです。
どうしてこの場面でこの人に出会うのか?とか、どうしてそんなことを思いついてしまったのか?とか、何か超自然的な力によって自分が動かされているという感覚は、わたしにもあります。偶然だけでは説明できなことが世の中にはたくさんあると思います。
敵として出会ったのに心を開くことができたり、隣に住んでいながら存在を知らないままだったり、自分の運命がどちらへ向いているのかは、実は誰かが決めているのではないかと思う事もあります。
1Q84を読んでいると頭の中に様々な考えが渦巻いてきて、そこから逃れられなくなりそうな気持になってしまうのです。
4月に「BOOK3」が出るのですが、それまでに頭の中を整理しておかないと、混沌が広がるばかりになりそうです。
1152、1153冊目(今年30、31冊目)☆☆☆☆☆☆
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