『勇気の季節』 ロバート・B・パーカー
Robert B. Parker
早川書房
おまえがプロになりたいというなら、それもいい。
おれも、おまえが望むかぎり、そばについていてやる。
だが、おれがおまえにボクシングを教えてるのは、いいボクサーにするためじゃない。
じゃあ、いったいなんのために?
おれは、おまえにりっぱな人間になってほしいと思って教えてるんだ。(本文より)
主人公のテリーはボクシングの練習と、ガールフレンドのアビーが大好きな15歳です。ある日、同じハイスクールに通うジェイソンという少年が浜辺で死体で発見され、学校ではステロイドの乱用が原因の自殺だと説明されたのだが、テリーはそれに疑問を感じたのです。
テリーがトレーナーのジョージからボクシングのコーチを受けるシーンが何度も出てきたのですが、臨場感があって、思わず引き込まれてしまう感じでした。
スペンサー・シリーズでも、ジムでボクシングの練習をするシーンがよくあったし、そもそもスペンサーは元ボクサーという設定でしたから、パーカーは相当ボクシングには思い入れがあったのでしょうね。
テリーとアビーの会話も、微妙な距離感を持ちつつもお互いを尊重し合っている所があって、とてもいい感じでした。こんな会話をできる15歳ってうらやましいです~!
われらがアウルズ、そしてこの作品はヤングアダルト(YA)向けの作品です。こういうシリーズで書きたいという構想を持ってらっしゃったのではないかと思います。しかし、今年の1月に急逝されてしまい、YA向けは2冊のみとなってしまいました。
これまでパーカーの作品を読んだことがない方だったら、これから読み始めてみるのもいいかもしれません。こんなさわやかな気持になれる物語って、なかなかないですからね。
1158冊目(今年36冊目)☆☆☆☆☆
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ミステリ読書歴は長いんですが
恥ずかしながらパーカーは読んだ事ありません。
レビューを拝見して読んでみたくなってきました。
チャレンジしてみたいと思います。
投稿: バンコラン | 2010年4月 2日 (金) 12:31
バンコランさん☆こんにちは
パーカーの作品はミステリの要素はあるのですが、人間を描く部分がより強調されているように思います。
ぜひ読んでみてくださいね!
投稿: Roko(バンコランさんへ) | 2010年4月 2日 (金) 13:39