『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』 岩崎夏海
この本の主人公「みなみ」は女子高生です。野球部のマネージャーとして活動することになって、マネージャーってどんなことをするのだろう?と悩んだ彼女は本屋さんで、ある一冊の本と出会いました。その本がドラッカーの『マネジメント』だったのです。
高校野球のマネージャーって言ったら、普通は雑用係のようなものをイメージしてしまいますけど、みなみちゃんにはそういう固定観念がなかったんです。この『マネジメント』という本を読みながら、自分の置かれた立場、そして野球部の部員について様々な事を考えていきます。
弱小野球部をどうやって強くするのか?部員のモチベーションを上げるにはどうしたらいいのか?ということを考える人は沢山います。でも、マネジメントという切口で考えていくと、全く違うアプローチがあるということに気が付いてきます。
人の強みを生産的なものにすることである。これが組織の目的である。
人間はどうしても自分の優位性を保ちたいから、他人の弱点が目につきます。そして、そこを攻撃しがちです。簡単に直せるようなことならともかく、どうにもならない事を攻めたってしょうがないのです。
他人からだけでなく、自分自身の中にある弱い部分を攻め続けている人も多いですよね。その為に悩んだり、消極的になってしまったり、夢をあきらめてしまったりしてしまう事の何と多い事か!
人にはそれぞれ個性があります。みんな同じにしようとするから無理が発生するんです。それぞれの人の強みを見つけ、伸ばしていきたいのです。
強みを伸ばせば、弱みは小さくなります。次第に気にならなくなります。もしつまづくことがあっても、笑って立ち上がることができるようになります。
働きがいを与えるには、仕事そのものに責任をもたせなければならない。
得意な分野で責任を持たされれば嬉しいですよね。それにある程度の責任があるからこそがんばれるということもあります。小さな役目であっても、「君に任せたから」と言われるって自身にもつながります。
「あいつは指示待ちだ」とか「うちの子は何もしない」なんて話を良く聞くけど、それは的確な役目を与えていない上司や親(マネージャー)の問題であるということなんですね。
市場において目指すべき地位は、最大でなく最適である。
仕事が成功したかどうかを図る尺度として、売上高とか人気が高ければ高いほどいいと考えがちですが、それは短期的な視点でしかありません。一世を風靡したって瞬間的なヒットではしょうがありません。
顧客が本当に求めているものを提供することができたら、それはずっと市場に残ります。それこそが最も成功したといえる地位なのです。
この本では高校野球とマネジメントという、一見関係なさそうなテーマを組み合わせて、実に分かりやすくマネジメントについて説明してくれています。
毎日の生活の中で、人は様々な問題に出会います。それをマネジメントという考え方で分析してみると、「そうか、そう考えればいいのか!」というヒントが沢山生まれてきます。
あなたが何か問題にぶつかっているなら、一度読んでみてください。とっても読みやすいのに、実はスゴイことを教えてくれた本でした。
1160冊目(今年38冊目)☆☆☆☆☆☆
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» もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら [どくしょ。るーむ。]
著者:岩崎 夏海
出版:ダイヤモンド社
感想:
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こんばんは。
私も『もしドラ』読みました。
高校野球とマネジメントという設定が親しみやすくて良かったですね。
「野球部にとっての顧客って何だろう?」と、私も一緒に考えながら読みました。
スポーツをテーマにした爽やかな小説になっていたのも良かったですね。
ラストはホロリとしちゃいました(^^
投稿: ia. | 2011年7月27日 (水) 22:23
ia.さん☆おはようございます
マネジメントというと難しいものと思うか、逆にとても簡単なものだと誤解している場合もよくあって、こんな風に分かりやすく解説してくれたからこそベストセラーになったのでしょうね。
人生いたるところにマネジメントありって感じました。
投稿: Roko(ia.さんへ) | 2011年7月28日 (木) 06:56