『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』 ロバート・カーソン
マイク・メイは3歳で視力を失ったけれど、どんなことにも果敢にチャレンジし続けていました。視覚障害者のスピードスキー競技の世界記録を持っているし、CIAで働いていたこともあるし、自分の会社を作って視覚障害者のための携帯型GPSシステムを作っていました。
そんな彼が46歳の時、驚くべきニュースがもたらされたのです。
「幹細胞移植という目の手術を受ければ、視力を取り戻せるかもしれない!」
マイクはいつも挑戦し続けてきました。何かをしたいと思ったら、とにかくやってしまうのです。子供のころは、自転車に乗って家の周りを走り回っていたし。杖と盲導犬さえいれば外国へだって一人で行ってしまいます。目が見えないから不幸だなんて、これまで一度も思ったことがありません。
手術することは、もちろん大変なことでした。でも、もっと大変なことが術後に起きたのです。そのために彼は悩みました。こんな状態で生きていて意味があるのだろうか?とまで考えました。
そんな時に出会ったのがファイン博士でした。
「ファイン博士の話だと、人間がものを見るという行為の多くの部分は予備知識と予想を土台にしている。そういうわけだろ?」
「同じことは人間の感情についても言えると思わないか?ある人に対して特定の先入観をもっているせいで、その人について見えることと見えないことがあるんじゃないだろうか?」
角膜が健康な状態で、神経がきちんとつながっていれば、通常はものを見ることができます。ところが、わたしたちが日常的に見ている景色というのは、脳が調整をかけているものだということにびっくりしてしまいました。
生まれてこの方ずっと視力がある人は、その経験値が脳に蓄積され、本当は見えないものまで推測して見ているというのです。その蓄積がないマイクは、脳による微調整のない視覚に悩まされたのです。
でも、そんなことに負けるようなマイクではありませんでした。自分なりのやり方で、少しずつ適応していく彼の生き様は本当に素晴らしい!の一言です。
普段当たり前だと思っていることが、実はそうでなかったということ。誰からも無理だと言われたとしても、必死にがんばれば道は開けるということ。マイクという人を通じて、人間の可能性は無限であることを実感させられる本でした。
マイクのモットーは、どれも素晴らしいんです。わたしも見習っていこうと思います!
- 冒険しろ
- 好奇心を大切にしろ
- 転んだり、道に迷ったりすることを恐れるな
- 道はかならず開ける
1181冊目(今年59冊目)☆☆☆☆☆
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これは面白かった。1日で一気に読んでしまいました。
マイクの不可能に挑戦するバイタリティに圧倒されました。
猫の脳と言われてもノリツッコミするマイクのユーモア精神にも脱帽。
笑えて感動出来る理想的なノンフィクションでした。
投稿: goldius | 2012年4月29日 (日) 10:53
goldiusさん☆お久しぶりです!
チャレンジすることこそ人生と思っているであろうマイクの生き方は素晴らしかったです。
いつもユーモアを忘れずに生きていたからこそ、チャンスが巡ってきたのだと信じたいです。
投稿: Roko(goldiusさんへ) | 2012年4月29日 (日) 17:10