『SOSの猿』 伊坂幸太郎
「Save Our Ship の略とか言われてるみたいね。俗に。『私たちの船を助けて!』ね。頭文字をとって、SOS」
「そうじゃなければ、Save Our Souls だって」
誰かが助けてと呼んでいると、それに呼び寄せられてしまう次郎くん。仕事だけじゃなく、私生活まで品質管理が行き届き過ぎて、不器用な人生を強いられている五十嵐さん。どちらも悪い人じゃないけれど、いろんなことに巻き込まれやすい体質のようです。
出来事には必ず原因があって、それを突っ込み始めると、どうにも止まらなくなってしまう五十嵐さんの思考回路は、非常にオタク的で、それに関わってしまう人にとっては迷惑としか思えない方向へ進んでいきます。
何でそんなことを考えなければいけないの?と言われても、原因を追及していくと、そっちへ行ってしまうんです。と当たり前のこととして受け止めてしまう所が、人間離れしていて面白いなぁと思いました。(でも、奥さんに逃げられちゃったのもしょうがないって思いますけどね。)
助けて欲しい人を引き寄せる力があるらしい二郎くんの、しょうがないなぁというスタンスも妙に可笑しいですね。まただよ!って思いながらも、そこから逃げない(逃げられない)ところがいいですねぇ。巻き込まれ型主人公、大好きです (#^.^#)
これまでの伊坂作品と大分違う感じだけど、やっぱり楽しかったなぁって思います。登場人物が言っていた、想像力を駆使しして物語を作ることで悲しみや不安が無くなるって話、妙に説得力がありました。
想像してみないから人生がつまらないんだよってメッセージは、弱気虫に浸食されている日本中の人達に伝えたいです。
1177冊目(今年55冊目)☆☆☆☆
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Rokoさん、こんにちは☆
今日は、こちらにコメントをトライしてみます♪
私もこの本を少し前、読みました。
確かに普段の伊坂さんと、ちょっと違った感じの本でしたよね。私は、それほど楽しめなかったので、、残念でした。あまり現実離れした内容だと、どうも置いてきぼりをくらっちゃうんです・・。
>いろんなことに巻き込まれやすい体質
巻き込まれ型主人公、私も好きです。なんか微笑ましいというか、気の毒なんだけど、はたから見てると応援したいような、なんかこう・・・情がわきます。
投稿: latifa | 2010年5月23日 (日) 22:39
latifaさん☆こんばんは
この作品は余り評判が良くないですが (^^ゞ
やっぱり伊坂さんでなければ書けない作品だなぁって思いました。
色んなトライをしているのでしょうから、すべて面白いって訳にはいかないこともあるでしょうが、それも含めて好きだなぁって思うわたしは、伊坂さんの大ファンって事なのかなぁ?
投稿: Roko(latifaさんへ) | 2010年5月23日 (日) 23:13