『チッチと子』 石田衣良
石田衣良さん、最近かなり多作ですよね。そんなに追いかけきれないから、IWGP 以外は放っておこうなんて思っていたんだけど、久しぶりに読んでみたら、やっぱりいいのよねぇ。
今回は40歳を目前にした小説家の耕平さんが主人公です。奥さんに4年前に先立たれ、一人息子と2人暮らしをしている彼は、いい文章を書くんだけど今一つ売れない作家さんです。
大きな文学賞(モデルは直木賞ですね)の候補になってドキマギするところや、デートすると女性に主導権を握られてしまう所なんかは、耕平さんって結構可愛い人なんだなぁって思っちゃいました。
文壇や出版業界も、不景気には勝てない状況で、その辺のボヤキは衣良さん自身の代弁なのかなぁなんて思いながら読みました。
やっぱり衣良さんの本は読みやすいなぁ。思ったことを上手く口に出せない男性を描いたこの作品は、かなり好感度高しです!
親一人子一人っていうと母子家庭を想像しがちだけど、この物語のように父子家庭だってたくさんいて、必死に生きているんです。
一番近い存在なのに、息子になかなか本当のことを言えなくて苦悩する父親でもある耕平さんには、小説家としても父親としても成功して欲しいなと、思わず応援したくなってしまいました。
1195冊目(今年73冊目)☆☆☆☆☆
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