『「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために』
伊坂幸太郎さんの「バイバイ、ブラックバード」は、太宰治の「グッド・バイ」にインスパイアされた作品なのだそうです。未完のまま遺作となった「グッド・バイ」がこの本に掲載されているのですが、これが太宰とは思えないような、不思議な可笑しさがある作品でした。
「バイバイ、ブラックバード」で圧倒的な存在感を示していた繭美さんの元型となっている「グッド・バイ」のキヌ子さんは、ある意味、繭美さんより強烈なキャラクターで、「美人だけど声が悪い」というところに主人公がこだわっている所が妙に可笑しいんです。
美人を連れて歩くのは楽しいけど、その酷い声を聴きたくないから、黙っていろと言ってしまう主人公の田島って、太宰の美的センスの現れなんでしょうか?
伊坂さんへのインタビュー記事には、「バイバイ、ブラックバード」をどんな気持ちで書いたのかが色々と説明されていて、なかなか興味深いものでした。
「あのバス」については、具体的なことを何も書かずに読者の想像に任せるからこそ怖いっていう所に、いたく同感してしまいました。
そして、映画「死神の精度」の制作中に、死神の扱いで意見が合わなかったという所に、原作者の意見が一番じゃないんだと、ちょっと悲しいものを感じました。
1214冊目(今年92冊目)☆☆☆☆☆
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