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『一九八四年[新訳版]』 ジョージ・オーウェル

一九八四年 [新訳版]

ジョージ・オーウェル

高橋和久 訳

ハヤカワepi文庫

 「1Q84」を読んだとき、「一九八四年」を読まなくっちゃと思ったんです。でも実際に本を手に取るまで時間がかかってしまいました。イギリスでは、読んだふりをしている本の第一位なんだそうですが、確かに数ページ読んだところで挫折してしまう人は多いだろうなぁと感じる本ではありました。

 前半、淡々と語られる主人公の生活は余りに単調で、余りに非人間的で、どうしてこんなことをしてるんだろう?という苦しさで息が詰まりそうになってしまいました。

 ビッグ・ブラザーがこうしたと言えば、それまでの歴史はすべて書き換えられてしまう世界、それは未来を想像しただけと著者は言うかもしれないけれど、余りに今日の社会そのもののように思えてしょうがありません。

 この社会では、一般大衆は物を考えない方がいいと指導されています。余暇などというものがあると、つまらない考えを起こすから、常に社会活動の予定で自分の時間を埋め尽くす事こそが理想であると指導されているのです。

 それはまるで、昨今の日本の状態のようです。画一的な人間を育て、みんなが同じ方向を向くように仕向けている社会。都合の悪いことはすべて後付けで訂正してしまう社会。特定の情報のみを流し、大衆にそれを信じ込ませる社会。

 マスメディアを使うことによって、よりそういった操作はより簡単になります。同じ情報を大勢に一度に送れるシステムは便利でもあり、とても怖いものでもあるのです。

 支配する側は、それを上手く利用しようとするわけですから、与えられた情報を丸呑みに信じてしまうことは余りにも危険なのだと、この本は教えてくれます。

 

 街中や家の中にまで、盗聴システムを配備されてしまう世界(伊坂さんの小説にもそういう設定がありましたね)になってはならないと思いつつも、実はどこかでそういう事が起きているのではないかという危惧もしたくなる昨今の社会です。

 この本が、20世紀の最高傑作と言われる所以が分かったような気がします。

1226冊目(今年104冊目)☆☆☆☆

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コメント

ハクスレー 『すばらしい新世界』(講談社文庫)を読まれていなかったら読んで見て下さい(http://ibg-kodomo.blogspot.com/2010/09/blog-post_10.html)。実は、息子に教えてもらったのですが、確かにこちらのほうが今の日本に近いと思います。


三鷹の隠居さん☆「すばらしい新世界」ですね。
今の日本は確かにおかしな方へ傾いてますから、それを探るためにも、ぜひ読んでみようと思います。

これ確か(例によって)1984年に瞬間的にブームになったような。
その時に読んだだよ。全然憶えてないけど・・

1984年といえば26年前。
26年前って言えば僕はまだ3歳!

いやーん。僕っておませさんっ

winosさん☆こんにちは
ということは、winosさんは今29歳なんだ(なわけないだろ~!)
村上春樹の「1Q84」の影響で読んだ人が増えたらしいですよ。
わたしもその1人だけどね (^^)v

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