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『ダブル・ジョーカー』 柳広司

ダブル・ジョーカー
ダブル・ジョーカー
posted with amazlet at 10.10.07
柳 広司
角川書店(角川グループパブリッシング)

 (D機関に関る者に)求められているのは、結局のところただ一つであった。言葉にすれば、それは「何ものにもとらわれず、自分自身の目で世界を見ること」であり、言い換えれば「自分自身の肉体のみを通じて世界を理解すること」だった。(本文より)

 この本には5つの物語が収められ、どれも面白かったのですが、D機関を作り上げた結城中佐の若き日の姿が描かれた「柩」がわたしは一番気に入りました。

 死ぬ間際まで自分の任務を第一に考えたD機関のメンバー、そして、その意図を理解し、何事もなかったかのように事後処理をした結城中佐、こんな風に足跡も印象も残さないようにするのがスパイの極意なのですね!

 スパイって小説や映画ではカッコよく描かれてるけど、実際には絶対に目立ってはいけない仕事です。気配を消し、顔の印象さえも薄くし、任務を淡々と遂行する彼らの活躍にドキドキしてしまいました。

 最後の物語で、ついに第二次世界大戦が開戦してしまったので、彼らの仕事は増えるとともに、やりにくい時代に入っていくわけですが、そんな環境下でもD機関のメンバーは働き続けて行くのでしょうね。そんな続編が読みたいです。

1231冊目(今年109冊目)☆☆☆☆☆

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活字の砂漠で溺れたい
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日本の作家 やらわ行」カテゴリの記事

コメント

Rokoさん こんばんは
個人的には一作目よりこちらの方が面白かったです。戦中戦後を舞台にしたさらなる続編、期待したいですね!!!

yoriさん☆おはようございます
目立たぬように、何の痕跡も残さぬようにしながら任務を遂行するD機関のメンバーの活躍は、実にスリリングですね。
更に難しい時代になっていくけど、彼らの活躍にわたしも期待してます!

こんばんは。こちらにもお邪魔します。
このシリーズは本当に面白いですね。
影のように生きるスパイだけど、ストイックなかっこよさがあって好きです。
『柩』は私も印象深いです。
「スパイは死んではいけない」と言い続ける結城中佐の素顔の一部が垣間見えたような気がしました。
粛然としたラストも切なかったですね。

ia.さん☆おはようございます
結城中佐の信念には誰も敵わないですねぇ。
現代でも、こういう仕事をしている人が沢山いるのでしょうね。
見えないところでどんなことが起きているのかは、想像するしかありませんけど。

itchy1976です。TB/Commentありがとうございます。

そもそも、戦中にはいって結城中佐を中心としたD機関がどうなるかわかりませんが、戦中を舞台にした続編というものが見てみたいですね。

これからもよろしくお願いします。

itchey1976さん☆こんばんは
結城中佐は優秀な人だけに、軍部から嫌われているわけですよね。
ということは、戦争に突入してからは更に難しい立場に立たされることになるのでしょうね。
そんな続編を是非読みたいものです。

こちらこそ、どうぞよろしく。(#^.^#)

すっかり結城中佐とD機関のとりことなり、続編にも手をだしています。

私が興味深かったのは「ダブル・ジョーカー」に出てきた女中さんです。
出征で健康で若い男がたくさんいる=軍人の変装って考えは、男、それも軍人側からは思いもよらない発想ですよね。
「とらわれない」ことがスパイの条件なのに、風機関は権威に偏りすぎ、それが自らの首をしめていましたねえ。

「パラダイス・ロスト」はまだ未読ですが、楽しみにしています。
モデルとなった中野学校は開戦後はスパイよりもゲリラ戦に重点がおかれたそうですが、D機関はどうなっていくんでしょう…。

日月さん☆こんばんは
出征してしまって、普通の生活の中に若い男性がいないというような状況を、軍隊の中にいると感じられなかったのでしょうね。(当然、軍隊の中は男ばかりですから)
そういう常識からの逸脱が、現代の社会でもいろんな所で出てきてますよね。
自分たちが一番優れているという思い込みこそが風機関の敗因だったのでしょうね。

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