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『最後の授業 心をみる人たちへ』 北山修

最後の授業――心をみる人たちへ

 2010年春の九州大学退官を前に、北山さんが学生たちに向けて行った「最後の授業 テレビのための精神分析」と「最終講義<私>の精神分析」ほかが、この本に収めれています。

 私たち日本人は「みんな」に知られること、「みんな」にああだこうだ言われるのを過度に気にする傾向にあるのです。患者さんの訴えの中には、「みんなに笑われている感じがする」など、よくそういう感覚が現れます。私たちの日常では、この「みんな」という第三者は、かなり脅威に感じる存在なのです。(本文より)

 「そんなことをしたら笑われるよ」とか「誰もそんなことしてないから止めなさい」なんて、何度も言われた記憶があります。子供のころはそんなものかぁと思っていました。

 その「みんな」ってのは、一体誰なんでしょうね?実際のところ、何をしようと他人はそんなに気にしてくれないものです。目立ったからと言って、「誰が笑うんでしょう?」そして、「何故、笑われちゃいけないのでしょう?」

 常に視線を気にしなければならない。常に他人を意識しなかればならない。こういう思いに取りつかれてしまったら、それはそれは重いものなのでしょうね。気になり始めたらどうにも止まらないのでしょう。

 心には意識と無意識、あるいは表と裏があると言ってきましたが、これを混同するのが精神病であり、その間で葛藤を経験してのたうちまわるのが神経症であ り、これを分裂させて二重に生きてしまうのがパーソナリティ障害と呼ばれます。非常に単純化していますけれども、精神病は二重の心のありようを混同してし まうことであらわれるのです。(本文より)

 生活に支障をきたすほどの状態ではなくても、殆どの人の心が二重化しているのは確かだと思います。外面は普通の人でも内面は不安の塊で、その不安をごまかすことばかり考えている人の多い事!

 北山さんによると、自分と相手という関係だけでなく、その両方を見つめている第三者の目まで意識してしまうのが日本人の特徴なのだそうです。第三者がいない状態でないと本当のことを言えない心の在り方って、考えただけでも疲れちゃいます。

 わたしはわたし、あなたはあなた、と割り切ることって、そんなに難しい事なのでしょうか?そこから逃れない限り、本当の自由はないと思うのです。それとも、自由になるのが怖いって事なのでしょうか?

1243冊目(今年121冊目)☆☆☆☆☆

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コメント

 や。その本読んでないけど(みすず書房はわりと好きなんだけど。サン・テグジュぺリ全集とかは持ってたような気がする)。

 いやあ。「みんな」という表現。おれ、それが出てきたらその瞬間に脊髄反射で眉に唾つけちゃう。なんかの議論で圧倒的に劣勢に追い込まれたやつが最後に使う断末魔のレトリックが「おまえは間違ってる、『みんな』そう思ってる」ってやつだと思っているからで。相手から「みんながおまえに反対している」なんていう漠然としたレトリックが出てきたら、もう勝ちが決まったみたいなもんだ、みたいな。同時に、おれはそこまで相手を追い詰めてしまったんだなあというほろ苦さもあったりして。
 自分には味方がいるか。本当に味方がいるのか、自分だけの独善に陥っていないか。「みんな、なんていう漠然とした味方しかいなくなっている」のではないかと検証すること。それができれば、けっこう楽になれるような気がする。北山さんが言ってる解法とは正反対なんだけど、どっちであろうが突き抜けてしまえば同じことよねえなんて無限遠点みたいなことを言ってみる。

 まあ本当の自由なんて仮想の概念だけど、それに近づくためには割り切りって必要なんだろーなー、みたいな感じと言えば伝わるでしょうか。だめかな(=^_^;=)。

猫が好きさん☆おはようございます
「みんな」とか「世間」とか「ふつう」なんて言葉に騙されちゃってる事の多い事!
TVでやってたから、有名な誰かが勧めてたからなんてのも同じで、そんなモノに依存した考えしか持っていないって、ホントに怖いです。

神経症と自動操縦ロボットだらけの世界なんてイヤですよね!

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