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『慧眼』 大前研一

 大前さんがこの本の中で強調しているのは、「日本人はきちんと考えていない」ということだと思います。何か困ったことがあっても「先送り」してしまう。外国から権利を主張されてもそれに対抗するだけの答えを返せない。テーマだけは立派だけれど中身なしの行政。などなど、余りにも考えていないことだらけの国ですよね、我が国は。

日本を蝕む「リスク放置」症候群

 リスク管理は、国家においても個人においても大事な事です。何かあったときにどう対処するのか、自分でできるのはどこまでなのか、誰にどういうことを依頼するのか、保険をかけるのか、最悪の場合には何を残すのか ・・・ 、普段から考えておかなければならないことがたくさんあるのに、放置しっぱなしの事項の多い事!

 考えが足りないだけでなく、選択肢があるときには必ず無難な方、安全そうな方ばかり選んでしまう消極性も気になります。安全策と言う名の「逃げ」が日本を悪い方へ向かわせているような気がします。

国民データベースの構築を進めよ

 100歳を越しているとされている多くの人たちの消息が分からないくなっているというニュースがこの夏の大きな話題でしたが、不思議な話ですよね。ほとんどの地方自治体では長寿のお祝いをしたり、記念品を配ったりしているから、その時に確認しているのかと思っていたら、実は何もしていなかったんですね。

 そして、戸籍と住民登録に関連性がないという事実を知ったときはビックリしました。だからこそ消息不明の人が発生するのです。こんな二重帳簿がまかり通っているとはねぇ。日本の戸籍は世界でも有数のきちんとしたものだって言ってたのは誰だったんだろう?

 考えること、想像すること、情報に流されない事、常に心していないとね。

R+(Reviewplus) さんからこの本を提供していただきました、ありがとうございます。

1240冊目(今年118冊目)☆☆☆☆

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コメント

 後半「国民データベースの構築を進めよ」について。

 いろいろ精度が低い部分があることが最近指摘されていますけど、でも依然として、日本の戸籍制度の精度は世界中でも屈指のものであると思う。「現実をきっちり反映している」というイメージとの差で愕然としたひとが多いということなのだろうけど、現実問題、現実をきっちり反映した戸籍制度を作るのって難しいし、作ろうとするといろいろ弊害が出るような気がする。

 おれ、野性生物がらみのお仕事をしてた時期があるんだけど、あいつら、生息数把握とかすらすでに難しいんだよね。出生届も死亡届も出してくれないし。
 人間の場合には出生届や死亡届を出せと命じることはできるんだけど、命じたところでキツい罰則をかけないと従わないのは世の常です。結果として、精度を上げようとすると、キツい罰則をかけるしかなくなるんです。現実的には、出生届については「出さないと戸籍が得られず戸籍がない子供が不利益をくらう」というわかりにくい罰則になってますけど、死亡届についてはそのペナルティをかけられなくて、出さないやつが多いという結果になっているというか。天涯孤独だとペナルティを課す相手がいないということもあって、それはもう制度設計として「不可能への挑戦」だろうとか思うのであった(=^_^;=)。
 で、この節の冒頭に戻るんだけど、野生動物の被害に関する「保護すべきか駆除していいか」みたいな論点をめぐっても、「生息数はほとんどまともに把握できていないのだ」ということが前提として共有できていないひとのご意見とかに直面すると、ちからいっぱい脱力しちゃうんですよねー。南極海のミンククジラが76万頭いるなんて信じているのは日本だけだから。

 この件については、「世界中のどの国も実現できていないような高い精度の戸籍制度」をイメージして考えちゃったことを考えるネタにすると、もっと興味深い展開になるんではないだろうかとか提案してみます。国民データベース、大前研一は好きそうなコンセプトですけど、実現は困難だし、むりやり実現しても息苦しい社会になるだけだと思うなあ。

猫が好き♪さん☆こんばんは
日本の戸籍がかなり正確な方であるのは確かだと思いますが、国勢調査などとの擦り合わせをしていないって所に疑問を感じています。
民間がやっている企業年金などの場合、1年に1度は生存確認をしているのに、国は何してるんだろう?
死亡を確認できていないというだけなら大した問題だとは思わないけど、年金がからんでくると詐欺という犯罪になるわけですよね。
日本は結構いいかげんな国なんだって、認識を変えざる負えない昨今です。

 Rokoさん、レスどうも。

 国勢調査との突合せですけど、それをやると国勢調査の方の精度が落ちるという問題があると指摘されています。国勢調査は、不法入国外国人あたりも対象になるんですけど、それに刑事政策や入管の管理や戸籍との整合性やらを求めると、正直に申告しないひとが増える恐れがあるというのです。まあ、そりゃそうだろうなあ。警察関係者や税務関係者は国勢調査員になれない、ってあたりも同じ理由に基づくものです。

 死亡者に対する年金支払い問題ですけど、あれは突出事例が話題になっており、たしかに突出事例では腹が立つんですけど、実態としてどの程度の損害が出ているのかとか、その損害を避けるためにかかるコストと比べたときにマイナスになっているのかとか、そのあたりまで考えると、現時点では意見を持てないでいます。税金的にはコストパフォーマンスが問題なわけで、一部に不当な利得を手に入れているやつがいるとしてもそれは個別具体的にたたけば良いことにすぎず、制度設計の問題ではないような気がするんです。

 で、だ。
 確かに日本は「完璧」と比較するならけっこういいかげんな国であるんですけど、でも比較級で言うなら世界でも突出してスクエアな国なんじゃないかと、依然としておれは思ってます。そして、それ以前の話として、「いいかげんであること」って悪いことじゃないんじゃないんだろうかとも思っていたりするわけなんですよ(=^_^;=)。

猫が好き♪さん☆おはようございます
「いいかげんであること」は別に構わないと思います。
無理やりキチッとしようとする弊害の方が問題ですもの。
国勢調査には、そういう意味があったとはねぇ、勉強になりました。

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