『日本人の坐り方』 矢田部 英正
かつての日本人の生活は、床や畳に坐るということが基本でした。胡坐、立膝、正座、など様々な坐り方がありますが、どれも現代の椅子を中心とした生活をしている人には困難な姿勢であることが多いようです。
たとえば、相撲の基本である蹲踞(そんきょ)の姿勢、踵の上に座るというこの形は、慣れない人にはとてもじゃないけどできない形です。でも、昔の日本人にとっては、踵に座るってことがとても多かったので、誰でもできる姿勢だったのです。
そして、そんなときの履き物として便利なのが下駄なんだそうです。下駄を履いてしゃがむと、適当な角度で固定されるので、とても安定がいいんですね。
疲れたときに「しゃがむ」というポーズ、アジアでは実によく見かけます。ヤンキー坐りというのもこの一種らしくて、確かに立っているよりもずっと楽なポーズです。
この本の中で紹介されていたマルセル・モースの床坐論「しゃがめないフランス人」というのにはびっくりしました。子供の時にはしゃがめるのに、大人になるとフランス人はしゃがめないので、濡れた地面などでは立ち続けるしかないのだそうです。
しゃがんだり、胡坐をかいたりすることが多いと、股関節は柔らかくなります。そりゃそうですよね。膝を開いて坐った方が安定がいいのですから。股関節が柔らかいと、足腰の負担が軽くなります。大股で歩けるから歩くのも楽になります。
西欧式の生活こそが文化的であると思い込んでいた日本人が、床から離れたことによって体力を落としているのだとしたら、それは退化としか言えないでしょうね。
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